夢の中の声 ページ10
ぷかぷか、ぷかぷか。
足が地面から離れている。体がふわふわ浮いている。
誰かの体温が伝わって、温かい。
私は、誰かに背負われている。
ここはどこだろうか。
真っ暗で何も見えない、深い、闇の中。
顔にかかり髪を濡らす冷たい水。どこまでも澄んだ水の中を想像した。
あ、わたし、しんだのかな、しんだにしては、冷たくて、つめたくて、さびしいな。
冷たいのに、触れる温度は温かい。なんで私は背負われているのだろう。誰に背負われているのだろう。どうしてこんなことを考えているのだろう、と色々なことが思い浮かんでは消えていく。
私は、どこに行けたのかな。天国は絶対ありえないから、私だけ、先に来たのかな？それとも、ここは黄泉の国なのかな。
1人だけが怖いから、私は誰かに向かって話しかけた。誰かがいると信じて話しかけた。
「わたしは、これたの？ここは、じごくなの？」
呟く言葉は響く事も無い。ふわふわ浮いて自然に溶けて消えていった。すると方角はわからない何処かから男の声が聞こえた。
あの男ではない、もっとはっきりした安心する声。
『ココが地獄なワケねえだろ』
「じごく、じゃないの？」
息が苦しくなってきて思わず咳き込んだ。ケホケホッと病人みたいな咳。この咳、嫌だなあ。
「じゃあ、わたし、しねたの？」
『死んでねぇよ。まだ生きてる』
「...え」
死ねてもいないのか。じゃあ此処はどこなの。私はなんで此処にいるの。早く、連れて行かなくちゃ行けないのに。早く、早く帰らなきゃ行けないのに。
...私は、どこに帰ろうとしているの？
あの男の安否はわからないけど、私が生きているってことは、死んでいないんだろう。
けれど、寺は燃えたし、親はいないし、帰れる家なんて何処にもない。じゃあ私は何処に帰りたいの？
帰りたくて帰りたくて仕方がない。
私は声に向かって話しかけた。
「わたしのおうち、しりませんか？」
帰れるあったかい場所は、何処にありますか？
もう帰る場所が無いなら、死んでも良いですか？
声が聞こえる。
『あー...今から帰るところが安心できて泣ける場所なら、そこがお前の家で良いんじゃねえか？」
泣いちゃう所が安心しちゃう所なんて、矛盾してるよ、そんなの、おかしいよ。そう言おうとしたけれどだんだん眠くなってきて目を閉じた。
少し寝よう。次はきっと、目が覚めたら地獄にいるはず。
だから、だから、おやすみなさい。
最後に聞こえた男の声ははっきりしていた。
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苺たると(プロフ) - 涙腺ゆるゆるにして見てました…。こういうネタ大好きなので嬉しいです！更新楽しみにしてます！ (2020年6月29日 21時) (
レス) id: 4ddd192ae6 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - MadHatterさん» ありがとうございます！この小説を楽しみにしていただけたら幸いです！無理をせずゆっくり書いていきたいと思います！ (2018年3月23日 18時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
MadHatter(プロフ) - ボロボロ泣きながら拝読させて頂きました。続き楽しみにしております。無理だけはなさらないでください。 (2018年3月23日 2時) (レス) id: 17134202e7 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - ざわさん» ありがとうございます。３月以降から本格的に更新を再開したいと思います。今回は生存報告としての今の現状とお話をあげさせて頂きました。引き続き応援よろしくお願いします。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
ざわ(プロフ) - ドキドキしながら一気読みしてしまいました！ この作品大好きです！素敵な小説をありがとうございます。受験はもうラストスパートでしょうか？お勉強頑張ってください！このコメントが届いているかどうかわかりませんが、心から応援しています...! (2018年2月6日 23時) (レス) id: c9576dec0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かまぼこうどん | 作成日時：2017年7月3日 22時
