匠の技 ページ36
「A、こっちのはどう?」
「あら、それだと柄に負けちゃうわ」
「あ!これいいんじゃないかしら!」
「でもそれ......」
「「サイズがあってない......」」
「体も心も小さくてすみませんでしたねぇ!!」
半泣きになりながら渡された着物の袖を通す。丈はいくらでも調節できる。しかし袖の長さが合わない。
例えるなら小さな子供が大きな姉の服を着てオシャレごっこをしている、そんな感じ。というか何故こんなことになっているんだ?
「いやいつものでいいんデスケド......」
「何言ってるの!?あれ男が着るヤツじゃない!」
「古着屋で安かったんだよ!」
「はぁー......」
ユキちゃんがパシンと私の頭を叩く。おシゲちゃんが肩を落としてため息をつく。なんかナメクジを見るような目で見られた。
「いいかしらA」
「確かに風花先輩への贈り物は大切でしゅ」
「だけどねA」
「男性からどこかに誘うことがあれば、それはデートでしゅよ」
「は?デート?三之助が???」
プッと吹き出す。いやあの方向“性”音痴四天王もとい恋愛とかなさそうな次屋三之助が?
「いやあ流石に少女漫画のみすg」
「口を縫い付けてあげましょうか?」
「アッ黙ります黙ります」
「私達ビックリしたんだから。来週!?来週なの!?ってね」
「ていうかなんで私くのたまちゃん達に次屋と次の休みに町まで行くことをカミングアウトしていない気がするんですけd」
「それでね、私たち会議を開いたのよ」
「ナオミちゃん無視しないでぇ......」
ブカブカの袖を左右に揺らす。ちなみにこの着物達はくのたま達のお古だったり実習用の小袖だったりする。ユキちゃんがジト目でこっちを見る。
「Aを着せ替え人ぎょ、もといおしゃれのノウハウを教えるいい機会だってね」
「もう何もツッコミません」
「しかし......。予想外だったわ」
「「アンタ色々小さすぎ」」
「ガキ体型で悪かったなちっぱいで悪かったなチビで悪かったな!!」
もう泣いてもいいだろうか。なぜ色々着せ替えられたうえこんな文句を言われなきゃいかんのだ。打ち捨てられたように横たわっている着物達を見る。
くのたま達はセンスが良い。だけどどうしても納得した着物が見つからないのか、悩んでいる。
「良いじゃんもうアレで......」
「これは実習練習でもあるのよ?Aがくのたまに来れば実践が多くなるわ。遅かれ早かれ、忍たまとタッグを組んで動くことだってあるの」
ユキちゃんはため息をついた。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
115人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺たると(プロフ) - 涙腺ゆるゆるにして見てました…。こういうネタ大好きなので嬉しいです!更新楽しみにしてます! (2020年6月29日 21時) (レス) id: 4ddd192ae6 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - MadHatterさん» ありがとうございます!この小説を楽しみにしていただけたら幸いです!無理をせずゆっくり書いていきたいと思います! (2018年3月23日 18時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
MadHatter(プロフ) - ボロボロ泣きながら拝読させて頂きました。続き楽しみにしております。無理だけはなさらないでください。 (2018年3月23日 2時) (レス) id: 17134202e7 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - ざわさん» ありがとうございます。3月以降から本格的に更新を再開したいと思います。今回は生存報告としての今の現状とお話をあげさせて頂きました。引き続き応援よろしくお願いします。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
ざわ(プロフ) - ドキドキしながら一気読みしてしまいました! この作品大好きです!素敵な小説をありがとうございます。受験はもうラストスパートでしょうか?お勉強頑張ってください!このコメントが届いているかどうかわかりませんが、心から応援しています...! (2018年2月6日 23時) (レス) id: c9576dec0e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かまぼこうどん | 作成日時:2017年7月3日 22時