匠の技 ページ37
「だからね、私たちは早くAにこっちの世界に慣れて欲しいし、女の子になってほしいわ」
「卯子ちゃあん......」
「本音は?」
「おしゃれを知らないAを私達(くのたま)で育成するのも悪くないかなって......」
「ぴぃぃぃ!!」
「あーら逃げれるとでも思ってるのかしら?着物だけじゃないわぁ。仕草にお化粧、髪型に簪......。色々仕込まなきゃいけないんだから」
トモミちゃんにホールドされ、ソウコちゃんに肩をがっしり掴まれる。フクロウが外でホゥと鳴いた。もう夕方だよ。そろそろご飯の時間だよ。
「しおりぃ夜食の準備ヨロシク」
「合点承知」
「ッアーーーー!!!」
・
・
・
「......誰?」
「人間の尊厳を色々無くしたAさんやぞ」
「......あ、くのたまにやられたのか。そんなこの世の終わりみたいな顔でこっち来んなって」
「なんで貢物探しでスタート時から精神すり減らさなきゃならんのだ」
一瞬フリーズした次屋は驚いたようにこっちを凝視してきた。
「な、なに」
「......やっぱり女子なんだなって」
「なにいうとんねん」
結局選んだ(着ることができた)着物は若草色の小袖だった。猫の足跡みたいな模様が点々と続いているような不思議な柄が織られていた。
次屋は門の前で座っていたので、とりあえず背中を叩いて立ち上がらせた。
「いてっ」
「さっさと行こう!コレ動きにくいし香油の匂いはキツイしで早く終わらせたいんだけど!?」
「......なかなかいい感じだけど。劇的ビフォーアフターってやつ?」
「コレじゃなきゃ蹴ってたのに、ってどこ行こうとしてるの三之助そっちは学園!!」
右に曲がるべきところをなぜか学園に戻ろうとする次屋の襟首を掴んで阻止した。
「あれ?」
「ほらコッチだってば!絶対走っちゃダメだからね」
次屋の手首を掴む。今離れられたら絶対探せない、走り回ることができない。だから迷子になられたりしないよう、大型犬のリードを持つつもりで。
「......」
私の後ろをついてくるようにゆっくりと歩いてくれた。ありがたいといえばありがたい。
しかし妙に嬉しそうにしているのはなぜだろうか。ブンブン左右に振れている犬の尻尾が見えた気がした。
朝から嫌な予感はしていたのだ。その予感が的中するなど誰が想像するだろうか。
(......手繋いでもいい?)
(今掴んでるでしょ)
(手がいい)
(......お好きにドウゾ)
(うわ冷たっ)
(心が綺麗だからね!)
(......)
(肯定しろや)
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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おみくじ結果は「末凶」でした!
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苺たると(プロフ) - 涙腺ゆるゆるにして見てました…。こういうネタ大好きなので嬉しいです!更新楽しみにしてます! (2020年6月29日 21時) (レス) id: 4ddd192ae6 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - MadHatterさん» ありがとうございます!この小説を楽しみにしていただけたら幸いです!無理をせずゆっくり書いていきたいと思います! (2018年3月23日 18時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
MadHatter(プロフ) - ボロボロ泣きながら拝読させて頂きました。続き楽しみにしております。無理だけはなさらないでください。 (2018年3月23日 2時) (レス) id: 17134202e7 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - ざわさん» ありがとうございます。3月以降から本格的に更新を再開したいと思います。今回は生存報告としての今の現状とお話をあげさせて頂きました。引き続き応援よろしくお願いします。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
ざわ(プロフ) - ドキドキしながら一気読みしてしまいました! この作品大好きです!素敵な小説をありがとうございます。受験はもうラストスパートでしょうか?お勉強頑張ってください!このコメントが届いているかどうかわかりませんが、心から応援しています...! (2018年2月6日 23時) (レス) id: c9576dec0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かまぼこうどん | 作成日時:2017年7月3日 22時