生きても地獄、死んでも地獄 ページ18
「ただいま、ちょっと待たせちゃったわね」
「なんでシナ先生火縄銃抱えてるんですか」
「また湧いてくるかもしれないから、保険よ保険」
「あっ、はーい...」
お茶をずずっと飲む。ヘムヘムが運んでくれたお茶まじ美味しい。シナ先生のお持ちの火縄銃から硝煙が出ていることは問いたださなかった。
心なしか辺りが静かになった気がする。
「...また、準備ができたらで良いですか、続き」
言う雰囲気じゃなくなった。準備はしていたけど、やっぱり言うのが嫌だなあ。湯飲みの中のお茶の水面に映る自分をじっと眺めた。
「大丈夫よ。まだ時間はたくさんあるもの」
「...ありがとうございます」
「それは良いとして、あとで富松作兵衛君にちゃんと謝るのよ。あの子が一番心配してたんだから」
「まじか」
「一番取り乱してたのよ。今下級生の全員には"貴方は崖から落ちて大怪我を負った"ということになっているけれど、三年生には厳しく追及されるでしょうね。特にこの件に最初に気づいた富松作兵衛君には」
「...」
「また四年を除いた上級生にも知られているわ」
「...まじか」
死ぬことより、こっちの方が地獄だ。私、こういう事が嫌だったから誰にも言いたくなかったのに。
ああ、これで私、三年生みんなにはこれから変な目で見られるわ、先輩達からは既に嫌われてんだろーなー。
「...はー」
ため息をついた。なにこれ今すぐ此処から逃げたいんですけど。どうやってこれから作兵衛達と顔を合わせりゃ良いんだこんにゃろー。あ、泣きそう。
でも、私の処遇を決めるのは、あの人だ。それは知ってる。だったら、早く、早く帰ってきて。
「全ては学園長のご決断、ですよね?」
「...ええ」
「生徒を危険な目に合わせた、私の所為で迷惑がかかった。私、退学してもおかしくないですよね」
「...」
「ならなんで、不利益な私を見捨てなかったんですか?退学願、そのまま受理してくれれば」
私のためにも、学園のためにも良かったのに。
せめて、この学園では、ただのAとして生きたかった。私を全く知らない、此処で生きたかった。
「シナ先生、さっき私が言ったことは忘れてください」
「...どうして?」
だって、私が此処からいなくなったら、先生にとって嫌な記憶になる。だったら今此処で消した方が。
良いでしょう?そう言おうとして、だけどいきなり布団のそばに投げ込まれた煙玉を見た瞬間、対応する時間もなく、あたり一面に白い煙が立ち込めた。
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苺たると(プロフ) - 涙腺ゆるゆるにして見てました…。こういうネタ大好きなので嬉しいです!更新楽しみにしてます! (2020年6月29日 21時) (レス) id: 4ddd192ae6 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - MadHatterさん» ありがとうございます!この小説を楽しみにしていただけたら幸いです!無理をせずゆっくり書いていきたいと思います! (2018年3月23日 18時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
MadHatter(プロフ) - ボロボロ泣きながら拝読させて頂きました。続き楽しみにしております。無理だけはなさらないでください。 (2018年3月23日 2時) (レス) id: 17134202e7 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - ざわさん» ありがとうございます。3月以降から本格的に更新を再開したいと思います。今回は生存報告としての今の現状とお話をあげさせて頂きました。引き続き応援よろしくお願いします。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
ざわ(プロフ) - ドキドキしながら一気読みしてしまいました! この作品大好きです!素敵な小説をありがとうございます。受験はもうラストスパートでしょうか?お勉強頑張ってください!このコメントが届いているかどうかわかりませんが、心から応援しています...! (2018年2月6日 23時) (レス) id: c9576dec0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かまぼこうどん | 作成日時:2017年7月3日 22時