ならばいっそ、見放してください。 ページ19
「その必要はなーい!!!」
白い煙が徐々に消えていく。そこから現れたのは見知った顔だった。
「ゲッホ、ゲホッ、ゲッ」
「...けむたっ」
自分でも咳き込んでる学園長は煙が完全になくなると、一つ咳払いをして姿勢を直した。
「三年ろ組のA!」
「うーっす」
「緊張感を持ちなさい!」
さっきのことも全て知ってた癖に。どうしても態度が荒々しくなってしまうのはご了承願いたい。
「...退学願、受理してくださいよ」
「退学願とはこれのことじゃな?」
「あ、そうそう、それ」
「っ喝!!!!」
私の退学願を懐から出したかと思うと、いきなり私の前でビリビリに破き始めた。
「...は?」
とうとうボケだしたのか。目を疑った。
「三年ろ組のA」
「それさっきも言ってましたし」
「お主は学園の備品を許可なく持ち出し、挙げ句の果てには自らの命まで捨てようとした!一足遅ければ、どうなっていたか想像がつく状況じゃった!」
「...わざわざ五、六年引っ張って来る必要あったんですか?」
どうしても相手の勘に触るような態度をしてしまう。不貞腐れてしまう。
だって危険な目にあってまでみんなが心配するような事ではない。
「...必要、なかったじゃ、」
「うむ!この件は"五、六年合同で行う実習"の一つに過ぎない!」
「...!?」
「だから、お主が退学願を出すのも、退学届を学園長側から出すのも、全て筋違いだと言うわけじゃ!」
「...ふざけてんの?」
なんでそんな軽く終わらすの?私の覚悟はなんだったの?私が嫌でもあそこに行った理由、本当はわかってる癖に。
「しかもAよ!その投げやりな態度が気に食わん!」
「どっちが筋違いだよ!大雑把なのは昔からだよすみませんでしたねえさあ早く退学させるか殺せ!」
「Aちゃん、一回落ち着きなさい!」
「だってそうだよ!!私が此処にいる理由ってなに!?誰も助けてなんて言ってない!!!言えないから、覚悟決めて死のうって思ってたのに!最悪だ!さいあく!!さいあくだよ!!...わたしがっ、私が責任とって、しななきゃっいけなかったっ」
シナ先生がなだめようとするのを無理して、学園長に噛み付く。今まで隠していた、耐えていた激情が、怒りが、悲しい思いが止まらなくて嗚咽を吐き出しながら泣き叫んだ。
「だって私がいなければ!!...母親も、みっちゃんも、誰も、誰も悲しくなかったのに。悲しい思いをせずに、生きてたかもしれなかったのに」
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
115人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺たると(プロフ) - 涙腺ゆるゆるにして見てました…。こういうネタ大好きなので嬉しいです!更新楽しみにしてます! (2020年6月29日 21時) (レス) id: 4ddd192ae6 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - MadHatterさん» ありがとうございます!この小説を楽しみにしていただけたら幸いです!無理をせずゆっくり書いていきたいと思います! (2018年3月23日 18時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
MadHatter(プロフ) - ボロボロ泣きながら拝読させて頂きました。続き楽しみにしております。無理だけはなさらないでください。 (2018年3月23日 2時) (レス) id: 17134202e7 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - ざわさん» ありがとうございます。3月以降から本格的に更新を再開したいと思います。今回は生存報告としての今の現状とお話をあげさせて頂きました。引き続き応援よろしくお願いします。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
ざわ(プロフ) - ドキドキしながら一気読みしてしまいました! この作品大好きです!素敵な小説をありがとうございます。受験はもうラストスパートでしょうか?お勉強頑張ってください!このコメントが届いているかどうかわかりませんが、心から応援しています...! (2018年2月6日 23時) (レス) id: c9576dec0e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かまぼこうどん | 作成日時:2017年7月3日 22時