私はポチでも犬でもない！

38：鳴り止まない何か ページ38

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「(…束縛って、何？)」

私と晋助は、恋人関係でもない。
その上、晋助から「これをするな」と言われたこともない。

「(…中二病発言多い。ワケが分からん。)」

盛大にため息をこぼし、私は震えた携帯を取り出した。
【校庭見てみろ】とだけ書かれたメッセージ。もちろん、送信者は沖田。

私はちらりと校庭に目を向ける。
そこには授業の一環で外に出ている3年Z組の人たちがいた。

男子生徒を殴る女子生徒もいれば、銀八先生にべったりな女子生徒もいる。
そんな人たちを見て、ツッコミが処理しきれないのか絶望するメガネ。
グラサンをかけた男子生徒は、授業そっちのけで求人雑誌を見ている。
沖田に関しては、黒髪の青年を追いかけ回していた。

「(良いなー、楽しそう。)」

沖田の横顔をぼんやりと眺める。

「星野、これ分かるか？」

スパーンとこめかみに打たれたチョーク。
イタタタ…と押さえ、私は服部先生に目を向けた。

「えっと…ボラギノールです。」
「はい不正解。これは安政事件です。
先生の痔とは全く無関係だから！」

そう言って黒板に解説を書き込む服部先生。
それと同時に、しまい忘れた携帯が振動した。

「(間抜けヅラでこっち見るから…って、沖田のせいでしょうが！)」

また、ブルブルと震える携帯。

【冗談でさァ。お詫びに、3年Z組まで迎えに来い。】

これのどこがお詫び？むしろ、私がお詫びに行ってるじゃん。
私が沖田に侘びを入れろってか？怖いわ…。

ポンと表示された最新メッセージ。

【放課後、また荷物持ちさせてやりまさァ。】

私は小さくため息をこぼし、ポチポチと文字盤をタップする。
送信したメッセージを見届けると、私は携帯をしまった。

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