4:幼馴染の高杉くん ページ4
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「…これ、晋助のそろばんだ…。」
お弁当を出そうとバッグをあさった時、そこにあったのはお弁当箱ではなく晋助のそろばんだった。
「(…え、Z組に届けないといけないのこれ?)」
Z組には、サディスト・沖田が入る。正直行きたくない。
屋上にいることを願って、私はそろばんを手に教室を出た。
*
「…あのぉー、高杉くんいますかー?」
屋上にもプレハブ小屋にも中庭にもどこにもいなかった晋助。
最終手段として、別棟にあるZ組に足を踏み入れた。
ザワザワと騒がしい教室。「告白アルか…!?」なんて言葉も聞こえた。
「(晋助に告白するのは、もう少し先にします!)」
教室を覗き込んでも晋助はいない。
後で返せば良いかと思った矢先、誰かに肩を叩かれた。
「おい。これ忘れ物。」
その瞬間、教室内が一気に静かになる。
「あ、ありがとう。」
手渡された私のお弁当。なんとなく痛い視線を感じて、恐る恐るそちらを見た。
3Zのみんなが、教室から出そうになるほどこちらを食い入るように見ている。
「…お前、高杉の彼女アルか!?」
分厚いメガネをかけている赤毛の女の子が私をビシっと指す。
「はい!」と言えたらどんなに嬉しいか…。
「彼女だァ?…なら、俺はもうちょいと胸のある女を選ぶぜ。」
ズボンのポケットに手を突っ込みながら、来た道を戻る晋助。
「(…おい、それは私が貧乳だって言いたいのか!殴るぞ!殴らないけど!)」
って、晋助にそろばん返すの忘れてた…。まぁ、良いや。
「…あの、お二人はどういう関係ですか…?」
ポニーテールの女子生徒がおずおずといった様子を見せながら聞く。
「ただの幼馴染です。」
そうなんです、ただの幼馴染なんです。
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クルルモンキー - クッ!敵わぬ!どうしても鼻血がッ! (2018年7月24日 21時) (レス) id: 5f81d4602a (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - narutokun0531さん» ありがとうございます!これからもっとドSっぷりを披露していきますね! (2017年9月11日 1時) (レス) id: ceb1c5f540 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - すごく面白いです、総悟のドSっぷりがたまりませぬっっ!! (2017年9月9日 0時) (レス) id: b0e0a6ed6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜月 | 作者ホームページ:https://twitter.com/sakura_duki3
作成日時:2017年9月3日 20時