29:傷を舐め合う関係 ページ29
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昔から、晋助は私に優しくしてくれた。
だからそんな晋助を信頼してるし、頼りにしてる。
「(だけど…)」
私が知ってる晋助はそれだけ。
あの人がどういう気持ちで今まで過ごしてきたのか、
なぜたまに虚ろな目で私を見るのか。
その理由は分からない。
気にならないといえば嘘になるけど、
なんとなくそれを晋助に聞いてはいけないような気がした。
「晋助。ご飯できたよ!」
「…おい。この量は多すぎらァ。」
お茶碗からあふれんばかりに盛られた白米を見て、晋助は小さくため息を吐く。
「晋助を少し太らせるのが私の義務だから。」
「何言ってんだオメーは。」
晋助は私にちらりと目を向けると、目で席に座るように促す。
私は晋助の隣に腰掛け、手を合わせた。
おかずを一口頬張り、それを咀嚼する。
随分と料理の腕前も上がったなーなんて思いながら、私はおかずを飲み込んだ晋助に目を向けた。
「晋助。」
名前を呼べば、晋助はこちらを見る。
「…ご飯、美味しくできたかな?」
私の質問に、晋助は「あァ」と一言だけ返した。
「良かった。
なら、もっと上手く作れるように頑張るよ。」
ふと、脳裏をよぎった沖田の質問。
−私と晋助の関係。
建前は、『幼馴染』。
本音は、きっと『傷を舐め合う関係』だと思う。
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クルルモンキー - クッ!敵わぬ!どうしても鼻血がッ! (2018年7月24日 21時) (レス) id: 5f81d4602a (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - narutokun0531さん» ありがとうございます!これからもっとドSっぷりを披露していきますね! (2017年9月11日 1時) (レス) id: ceb1c5f540 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - すごく面白いです、総悟のドSっぷりがたまりませぬっっ!! (2017年9月9日 0時) (レス) id: b0e0a6ed6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜月 | 作者ホームページ:https://twitter.com/sakura_duki3
作成日時:2017年9月3日 20時