22：トラブルとピンチ※ ページ22
.
「(ちょっとだけ、上に上がりたい…。)」
そっと体を上に動かせば、沖田にキッと睨まれる。
「ポチ！それ以上動くんじゃねェ！」
「は、はい！」
沖田もしんどいのだろう。
これ以上私に近づかまいと、顔の横にある沖田の手が震えている。
沖田は舌打ちをすると、ちょっとだけ身をよじった。
「！」
それが仇となり、さっきよりも沖田と顔が近付く。この距離は本当に堪えられない。
そして、その距離に比例するかのように、私の足の間にある膝も強く押し当てられた。
「(沖田が、ブレザーを踏んでるからスマホが出せない…。)」
連絡を取ろうにしても、沖田の足とロッカーが邪魔をしてブレザーのポケットに届かない。
「…あァ、こりゃどのみち地獄だな。」
そう言いながら、私の顔に目を向ける沖田。
思ってた以上に近い沖田から目をそらし、そっと自分の口元に手を当てた。
「…犬の分際で何照れてんでィ。」
「照れてない！…ていうか、この距離で喋りかけないでくれる？」
ふわりと漂う柔軟剤と制汗剤の香り。
「あァ、ロッカーが重てェや。もう支えきれやせーん。」
そう言って、さっきより顔の距離が近くなる沖田。
Sは打たれ弱いんじゃないの？と思いつつ、棒読みの沖田を睨んだ。
「いやー、この距離で犬をいじめない野郎はいないですぜ。」
…余計な一言で、沖田のドS心に火をつけてしまった！
「反抗されるほど燃えるってのがSって奴でさァ。覚えておきなせェ。」
「分かったから！…それ以上、近付かないで。」
さっきよりも強く押し当てられる沖田の膝。
グイッとさりげなく横に押しずらされることもあり、私は声を抑えるので精一杯だった。
「ははっ、こいつァ面白ェや。」
ここから抜け出したら、絶対にタバスコぶち込んでやる。
笑ってられるのも今の内だよ、沖田！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クルルモンキー - クッ！敵わぬ！どうしても鼻血がッ！ (2018年7月24日 21時) (
レス) id: 5f81d4602a (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - narutokun0531さん» ありがとうございます！これからもっとドSっぷりを披露していきますね！ (2017年9月11日 1時) (レス) id: ceb1c5f540 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - すごく面白いです、総悟のドSっぷりがたまりませぬっっ！！ (2017年9月9日 0時) (レス) id: b0e0a6ed6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜月 | 作者ホームページ：https://twitter.com/sakura_duki3
作成日時：2017年9月3日 20時
