私はポチでも犬でもない！

20：ドＳコンビとポチ ページ20

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試合が全て終わり、ギャラリーにいる女子高生たちが憧れの先輩たちにお弁当を渡しに行こうと席を立つ。

「…わぉ。」

その時驚いたのは、あのサディスト皇子沖田が女子高生からお弁当を渡されているシーン。
同校生徒はもちろん、他校生徒…ライバル校の女子高生からもお弁当を差し出されている。

「(え、あの人モテるの。サディストなのに。まじか。)」

…ちらりと沖田を取り囲む女の子たちを見る。
皆可愛い子たちばかりだなーと、思わず鼻の下を伸ばしそうになった。

「(…いや、でもこの状況はちょっとアレだぞ。)」

あんなに人の多い中、この重箱並みのお弁当を手渡すのは気がひける。
私は、もう少し待つことにした。

「あれ、高杉の幼馴染の…誰だっけ。」

そんな中、私に声をかけてきたのは銀八先生だった。
いつもの白衣じゃなくて、今日は珍しくスーツ。

「星野です。」
「あ、そうそう。ポチ。」

そう言いながら、私の隣に腰掛ける銀八先生。
…一瞬だけ脳内がフリーズした。

「は？あの、星野なんですけど。」
「わーってるよ。総一郎くんのペットのポチだろ。」

銀八先生、何一つ合ってないよ。
星野だっつってんだろ。それにペットじゃない。あと総一郎くんて誰。

「ご主人様のところに行かなくて良いの？」

そう言いながら銀八先生は、内ポケットにあるレロレロキャンディーを取り出した。

「誰がご主人だ。…総悟は今お取り込み中のようなので。」

眼下には、まだお弁当を差し出す女の子たちが溢れている。
これはまだしばらくかかりそうだなー。とぼんやり眺めていた。

「…高杉の野郎に、これ渡しといてくんね？」

そう言いながら差し出された茶封筒。
私はそれを受け取り、バッグの中に入れた。

「あー、教師が女子生徒にラブレター渡してるー。
先生、そんな女がタイプなんですかーィ？」
「あぁ！？だーれが、こんな箱入り娘にラブレターなんか渡すか！
それに、俺ァもっと上品な女が好みだ！」

棒読みで発言する沖田と、それに大声で言葉を返す銀八先生。

「(…え？殴っても良いかな？
ドSコンビに噛み付いても良いかな？)」

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