17:まじで駄目犬な女 ページ17
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「し、晋助ェー。ただいまァー。」
フラフラになりながらの帰宅。
実はあのビラ、隣町にまで飛ばされていたのだ。
晋助はソファに凭れながら、首だけこちらに向ける。
「Aは相変わらず元気だな。」
晋助は微笑むと、少しだけソファの端へずれた。
私は通学カバンをソファの近くに置き、グデーンと肘掛け全体に体を預ける。
「(もう今日は疲れた…。)」
ソファで溶けている私の髪の毛を優しく撫でる晋助。
どこぞのバカとは違って、その手つきは本当に優しい。
そんな幸せな時間を邪魔するかのように、リビングに響き渡る私の携帯。
こんな時間に電話を寄越す奴は一人しかいない。
私は携帯を取り、沖田総悟と表示されている画面を見て、リビングから出た。
「…はい。」
『どうしやした?随分とテンションが低いじゃありやせんか。』
低くさせてるのは誰だよと思いつつ、「疲れてるの。」と一言だけ返す。
電話の内容を要約すると、『来週に剣道の試合があるから、弁当をたくさん作って来い』とのことだった。
「…剣道部だったんだ、なんか意外。」
『どこぞの駄犬と違って、俺ァ動かないと気が済まないタチでしてね。」
こいつのお弁当にタバスコぶち込んでやろう。と思いながら、私は「あぁ、そう。」とだけ返事する。
『ま、お礼はしますぜ。…来てくれるの、楽しみにしてやす。』
と、いつになく素直な沖田の発言に、私は不覚にもときめいた。
「(あぁ…まじで駄目犬な女…。略してマダオだな…。)」
と、思いながらリビングへ戻る。
「…沖田からか?」
晋助からの質問に、思わず体が固まる。
「う、うん。…なんか、お弁当頼まれちゃって。
それくらい、自分で用意してよねって話だよねー。」
なんでもない風を装い、私はそんな空気を誤魔化すかのようにテレビのチャンネルを回した。
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クルルモンキー - クッ!敵わぬ!どうしても鼻血がッ! (2018年7月24日 21時) (レス) id: 5f81d4602a (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - narutokun0531さん» ありがとうございます!これからもっとドSっぷりを披露していきますね! (2017年9月11日 1時) (レス) id: ceb1c5f540 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - すごく面白いです、総悟のドSっぷりがたまりませぬっっ!! (2017年9月9日 0時) (レス) id: b0e0a6ed6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜月 | 作者ホームページ:https://twitter.com/sakura_duki3
作成日時:2017年9月3日 20時