13:冷めた夕飯と関係 ページ13
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お弁当を見事完食し、私に空っぽの弁当箱を返した沖田。
自由というかなんというか、ご馳走様とだけ言ってスタスタと歩き出す。
少しだけ軽くなったバッグを持ち直し、私は帰路に着いた。
玄関を開け、
「ただいまー。」
と声をかけたものの返事はない。
どこかに出掛けたのかな?と思いつつ、私は晋助が帰ってくるまで夕飯を作りながら待っていた。
*
時刻は0時を回ろうとしている。
テーブルの上には、すっかり冷めてしまった夕飯たちがズラリ。
何度連絡を入れても、晋助からメッセージが帰ってくることはなかった。
その時、ガチャと響いた音。
私は慌てて玄関の元に向かった。
「晋助!おかえ…」
血と砂埃まみれの体。晋助は、ギラギラと獣のように輝く目を私に向けた。
「し、晋助が喧嘩なんて、珍しいね。
今、手当を」
「なァ。」
私の台詞を遮るように口を開いた晋助。
私は、努めて平常心を保ちながら晋助の方を見た。
「沖田の野郎と…付き合ってんのか?」
「?付き合ってないよ?」
私の一言で疑問が薄らいだのか、晋助の目が少し落ち着く。
心なしか、私も少しだけホッとした。
「悪ィ、手当てしてくれ。」
晋助は私の頭の上に手を乗せると、すれ違い様に呟く。
私は救急箱を手に取ると、晋助の背中を追いかけた。
拳に顔、あちこちに擦ったような傷が多い。
ツンと香る脱脂綿を、私は晋助の顔に当てた。
「(まつ毛、長いな。)」
その瞬間、染みたのか、少しだけ顔を歪める晋助。
慌てて手を引っ込めれば、続けろと一言だけ言った。
「…喧嘩、してたの?」
おずおずと聞けば、目を伏せていた晋助がゆっくりと目を開ける。
「あァ。」
晋助はそう言うと、私の頰にそっと触れた。
慈しむように微笑む晋助の目に、思わず釘付けになる。
でも、どことなくその瞳の奥は…冷めていると直感が働いた。
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クルルモンキー - クッ!敵わぬ!どうしても鼻血がッ! (2018年7月24日 21時) (レス) id: 5f81d4602a (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - narutokun0531さん» ありがとうございます!これからもっとドSっぷりを披露していきますね! (2017年9月11日 1時) (レス) id: ceb1c5f540 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - すごく面白いです、総悟のドSっぷりがたまりませぬっっ!! (2017年9月9日 0時) (レス) id: b0e0a6ed6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜月 | 作者ホームページ:https://twitter.com/sakura_duki3
作成日時:2017年9月3日 20時