86.ひとでなし ページ19
「今日は急に誘って悪かったね」
マンションに着いた頃、時刻は24時を過ぎていた。
「いえ、まさか会えるなんて思ってなかったので驚きましたけど…」
「なんで？」
「え？」
「なんで会えると思ってなかったの？」
「…えっと、それは」
"透子さんが"なんて言おうとしたこの唇を強く噛みしめる。
大野さんは私の心の中を読み取ったのか、静かに、そして優しく、口を開いた。
「…何も気にしなくていいよ」
「え…？」
「Aはそのままで居ればいい。"何か"を感じる必要はないんだから」
私がその言葉に何も返せずにいると
「今日はありがとう。メリークリスマス」
彼は微笑みながらそう言ってアクセルを踏んだ。
これで私のクリスマスは終了だ。
もう、心残りなんてない。
あとは無事に年を越すのみ…って、本当に？本当に心残りなんてない？
ない。ないよ。
じゃあ何故、家に近づけば近づくほど足が重くなるの？
そんなの知らない。
家であの男が待ち構えているのが怖いんでしょう？
ちがう。怖くなんかない。
もし待ち構えていたとしても今なら強行突破できる自信がある。…と、戦闘モードバリバリで玄関を開けたのに。
そこに彼は待ち構えていなかった。
「二宮さん…？」
真っ暗な家の中、そっとリビングまで進んでみる。
開けっぱなしのカーテンは部屋の中に月明かりを誘い込んでいて、その明りに包まれながらソファで眠る二宮さんの姿を私は見つけてしまった。
小さく丸まったその背中。
そばに転がる彼の鞄。
家を出た時と何一つ変わらないテーブルの料理たち。
もう一度、ソファで眠る二宮さんを確認すると上着を着たままだという事に気が付いて。
その瞬間、全てを思い知る。
「っ…」
二宮さんを起こすことも出来ず、バスルームに駆け込んだ。
上着もマフラーも手袋もその場で全部剥ぎとって、洗面台の鏡に映る自分の姿。
手を伸ばして、そこに映る唇をなぞってみる。
…ねぇ、そんな顔しないで。
さっきみたいに微笑んでよ。
貴女は間違ってない。
選んだ道は正しかった。
そうでしょう？
お願いだから、そうだと言って…。
じゃないと、私…。
「ゲホッ…ゲホッ…」
慌てて口元を水で洗い流す。
鏡に映ったのは、色を失くした酷い顔の女で
『…"ひとでなし"』
冷たい声が胸に突き刺さった。
ちがう。
ひとでなしは貴女よ。
私じゃ…ない。
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のね夢(む)(プロフ) - ともさん» とも様＊はじめまして☆大野さんとの幸せを願っていたのですね…智担なら当然だ（＞＜）でも二宮くんの気持ちも響いていただけたようで安心しましたっ。最後まで読んでくださりありがとうござます♪ (2017年7月18日 1時) (
レス) id: 0ea4b451c7 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - のね夢さん、はじめまして。智担の私的には…大野さんと幸せになって欲しかった(>_<)二宮さんの一途な愛がスッゴク心に響きました( *´艸`) (2017年7月17日 16時) (レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
*-eni-*(プロフ) - のね夢しゃーん！ 私、たしか、さっき あっちで保健室で……落ち着いてたはずなのにっ……和くんっっっ！あまあまじゃないかぁぁぁ〜(*/∀＼*) ほろ酔い和くんは本音出て可愛いし嬉しいなぁ〜♪ (2017年4月27日 22時) (レス) id: aaada8bfdf (このIDを非表示/違反報告)
のね夢(プロフ) - 咲詩(さきうた)さん» 咲しゃまー！ふふふ…誘ってます、誘ってます（笑）服のまま一緒に入りたいよ〜いたしたいよ〜←こら。自信のない二宮くんが個人的に好きなのです。んふふ。ありがとう！ (2017年4月27日 10時) (レス) id: 0ea4b451c7 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - のねしゃまー！ナニ、私を誘惑するの？←違……服のままバスタブINは二宮さんが似合うよねー(笑)ちょっと不安になりながら、でも愛してく……素敵！更新有り難う (2017年4月26日 21時) (レス) id: ba6a9accd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミト
| 作成日時：2016年12月9日 21時
