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「先生、何かあった?」


『え?』



授業終わりに、吉沢くんにそう言われた。
昨日の出来事があってから、彼とはもうすっかり打ち解けている。



『別に、何もないよ』


「ふーん」



別に吉沢くんに言う程のことでもないし、大の大人が昔の夢を見て泣いた、だなんて恥ずかしくて言えない。
だからそう答えたけれど、かなり怪しまれている。
変なところで鋭いんだよな、この子。



『じゃあ、私は次の授業があるから』


「はーい、頑張れー」



どっちが先生か分からないような返しをされる。

興味が無いことにはとことん無関心だな…

変に探られないように、足早に教室を出た。



.



放課後の部活動時間中。
例のごとく、私は保健室に来ていた。



『あのさ、』


「ん?」


『今日、久しぶりに…倫也の夢を見た』



今さら私の口から彼の名前が出てくるとは思っていなかったようで、ふみの動きはピタリと止まった。
倫也と別れたあの日から、ふみは極力倫也のことを話題に上げないようにしているみたいだった。



「…そっか」


『最近は忘れてたんだよ。別れたばかりの頃よりも、夢を見る回数は減ってたし』


「うん」


『でも、起きたときはいつも…泣いてる』


「…本当に、大好きだったのにね」



ふみは、小さく呟いた。

大好きだったとしても、今はもう…嫌い?

首を振ることも出来ず、私は俯いた。



『あの人も、今はどうしてるんだろうね。きっと…私よりもずっとかわいい人と幸せになってるんだろうな』


「そんな…」



私がそう言えば、ふみは何かを言いかけて、口をつぐむ。

あれ…何言ってるんだろう、私。



『ごめんね、わざわざするような話でもなかった』


「謝らないでよ。話したかったらいつでも聞くよ」


『ありがとう』



そう言って笑い合った。
やっぱり、しんみりした雰囲気は私たちには合わない。
ふみの優しさで、朝の事はもう忘れられそうだった。

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姫さま2代目(プロフ) - 突然のコメントですみません。この作品はとても面白くて大好きです。もし良ければ、先生が高熱で倒れるというシチュエーションのお話を書いてもらえませんか? (2019年12月5日 16時) (レス) id: b829960b29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月1日 21時

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