子供のまま、痛いまま【吉沢亮】 (ページ41)

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吉沢side

「あー、疲れた！」

「隆、ずっとはしゃいでたもんな」

「お前もな」

隆とはホテルの部屋が同じだから、変に気を遣わないで済む。

風呂上がりにベッドの上で寝転びながら、そんな中身のない会話を続けては笑いあっていた。
タオルでガシガシと頭を拭いて、今日撮った写真を二人で見る。

すると廊下に続く部屋のドアがノックされ、開けると仲の良いクラスメイトが立っていた。

「今男で集まろうって話してたんだ。亮も隆之介も行こうぜ！」

隆に手招きしてそいつについて行くと、クラスの男子のほとんどが揃っていた。

おぉ、一部屋にこの人数は狭いな。

苦笑いしながら空いていたベッドの上に胡座をかく。
隆は俺の隣に寝転んだ。

「で、これは何の会合？」

そう聞けば、待ってましたと言わんばかりに集めた張本人(友達)が言った。

「そりゃあ、こいつら全員の好きな人を聞くために決まってるだろ！！」

「やたら大声だな」

…っていうか。

全員の好きな人を聞く？
そんなの絶対言わねぇ。隆はもう知ってっけど。
これは嘘つくの決定だな。

わいわい騒ぐ男子一人一人に、すっかり司会になった友達が聞いていく。

ちなみにこいつは彼女持ちだから、心の余裕があるのだと思う。

「はい、モテモテ男子、亮くんの好きな人はぁー？」

「いません」

「嘘ついちゃって！まったく、ピュアボーイなんだから！」

「うるせーよ」

イジった後、すぐさま標的を隆に移した。怖ぇ。

友達曰く、どうやら俺はピュアボーイらしい。
自分で言うのもあれだけど、そんな言葉似合わなすぎる。

机の上の時計を見ると0時だった。
ようやく尋問タイムが終わって一息ついたら、司会が今度は紙とペンを持ってきた。

「ずばり、女子人気投票。先生も含めて！」

「彼女いんのにそんなことやっていいの？」

「大丈夫、俺は投票しない」

語尾に星が付きそうな言い方でその場にいた全員鼻で笑った。

「結果は……一位、立花A先生。二位、二階堂ふみ先生。この二人のみ！！」

「先生も、だったらこうなるに決まってる！あ、俺二階堂先生タイプ」

「えー立花先生の方が良いじゃん」

「いや、両方だって！」

「「確かに」」

ここにいる皆がこの二人のどっちかに入れたって事がすごい。
でも、俺はこの中の誰よりもA先生の事を知ってる。

…うわ、優越感。

自信を持ってそう思えることに、にやけが収まらなかった。