子供のまま、痛いまま【吉沢亮】 (ページ4)

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ふと時計を見ると、そろそろチャイムが鳴る時間だった。

『じゃあ、そろそろ時間だから終わります！』

号令をしてチャイムがなると、みんなは疲れた～と机に突っ伏した。

懐かしいな、この感じ。
自分が高校生の時もこんなだったっけ。

教卓の上を片付けつつ、なんとなく例の吉沢君に目をやった。
窓の外を眺めている横顔はまるで彫刻のようだと思った。

チャラチャラしてないから余計一目惚れする子が多いんだな。

冷静になって分析していれば、彼は不意にこっちを向いた。

え、今度は私が見てたみたいになってる。
変態教師？いやいや、ダメでしょ！

逃げるように目線を逸らそうとすると、彼が微笑みかけてきた。

これが噂の微笑み王子か…。

眩しすぎる微笑みに目眩がしそうになりながらも対抗心で微笑み返し、荷物を持って教室を出た。

.

１日の授業が全て終わった後。
職員室の自分の机に一直線に向かい、いつかの生徒のように突っ伏した。

『はぁ…』

疲れた。本当に疲れた。
初めての授業は勿論楽しかったけれど、慣れない事をすると体力を使う。

これから、さっきの授業で回収したアンケートに目を通して、
明日の授業の内容を確認して、
プリントを作って、
遅れて届いた教材を運んで…

考えるだけで嫌になってくる。

ダメだ、ちゃんとしないと！
両頬を叩いて、沢山の紙と向き合った。

.

仕事も一段落ついてまだ明るい外を見ると、グラウンドでサッカー部が試合をしていた。
ベンチの方では、見学している一年生達が真剣に試合を見つめている。

大変だな…ご苦労様です。
心の中で労い、休憩をしに保健室へ向かった。