子供のまま、痛いまま【吉沢亮】 (ページ3)

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目覚まし時計の音で目を開くと、カーテンから光が差し込んでいた。

目覚めはいい。
体を起こして洗面所まで歩き、顔を洗う。

髪の毛も整えて朝ごはんを食べ、メイクも終わらせた。
ブラウスに薄手のカーディガンを羽織り、淡い色のロングスカートと合わせる。

よし、準備完了！

『いってきまーす』

独り暮らしの家に声をかけ、弾むような足取りで歩く。
緊張していた昨日とは違い、今日は学校がただ楽しみだった。

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授業の荷物を抱えて一年生の廊下を歩いていると、窓側に集まった女の子達の話が聞こえてきた。

「知ってる？二年に超イケメンの先輩がいるんだって！」

「あぁ、噂になってるよね！吉沢先輩でしょ」

「微笑み王子なんだよ！私、好きになっちゃったんだよね～」

青春だなぁ…羨ましい。

こっそりと思いながら、授業のある教室へと階段を上った。

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「起立、礼、着席」

チャイムがなったと同時に号令がかけられる。
先生になったのだと実感して、高揚する気持ちを飲み込んだ。

『改めまして、2年3組の国語を担当します、立花Aです。よろしくね』

笑顔で拍手されて、すこし照れてしまう。
そこからは、授業の説明をしたり、アンケートを取ってみたり。
だんだん生徒達とも仲良くなっていき、授業はあっという間に過ぎていった。

教科書を読んでもらっている間、視線を感じた気がして顔を上げる。
パチッと目があったのは、窓側の後ろの方に座っている男の子。

綺麗な顔してるなーと思いながら、どうしたの？と首を傾げると、すぐに目を逸らされた。
何となく気になって、名前を確認してみる。

名簿は後ろの方だから…あ、あった。

吉沢亮、それが彼の名前らしい。

ん？吉沢って、どこかで聞いたような…

記憶を辿るとさっき聞こえた会話を思い出して、あ！と声が出そうになった。