片 道 1 5 8 分 の 恋 物 語 。【青】

善通寺 ページ7

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次帰ってきた画面にはぎょろっとした"目"一つが描かれてた。

さすがにもう線は震えてなくて、ちょっと寂しくなる。


安「なんかすごい画面の中から見つめられてる…笑」

「怖いけどそれしか思い浮かばなかった、笑」

安「んー…何にしよっかなぁ…」

少し考えてから、思いついた"メダカ"を描く。


安「はいっどーぞ」

「なんでこんなにうまいの？？
…すぐわかるもん、すごい…」

安「まぁそれほどでもぉ？」

「…っ」


おちゃらけるとAちゃんが睨むような目でおれのことを見つめる。

睨んでるのに全然怖くなくて、寧ろ可愛い。


Aちゃんは携帯と向き合って少し考えた後、あっ と口を開けてから絵を描き始めた。

「はい！描けたっ」

安「どれどれ」


再び帰ってきた画面を見ると、テレビの中に5人の棒人間が立ってる。

おまけに"かっこいい人たち"っていう文字まで書いてあって。


…まさか。


「文字書くの反則かなぁって思ったけど…
絵心ないから許して」


"か"から始まるかっこいい人たち5人って。


安「…関ジャニ∞？」

「絵しりとりだから私何も言えないもん」

安「あっずる〜！
文字書いてるのに！笑」

「それとこれとは別！
大ヒント文字にしてるからいいでしょ？」


やること全てが可愛く思える。


絵しりとりで関ジャニ∞を描こうと思う思考も、
テレビの中に棒人間を描く考えも、
文字書いちゃおうってなっちゃうところも、

全部が可愛らしい。


…あかんなぁ、ベタ惚れやんおれ。


今度はおれの手が震えてもうて、輪郭の震えた"トマト"が出来上がった。


安「はい、これで最後やな」


そう言いながら携帯を手渡す。




もう意識してなかったせいか、
また手が触れた。

お互い気付かんふりをする。

それが妙にくすぐったいけど、だんだん距離縮まってるんかなって嬉しくなった。




Aちゃんは少し耳を赤くしながら携帯画面に夢中になってる。


「はいっ描いた、答え合わせ！」

安「はいはい、これ関ジャニ∞ですか？」

「…ピンポーンっ」

安「ふは、Aちゃんはおれらのこと棒人間に見えてるんですかー？」

「だから絵心がないのー笑
本物みたいにかっこよく描けないもん」





おれは笑いながら、

こっそり、全部の絵が出揃った絵しりとりの画面をスクショした。






…この写真、宝物にしよ。






［09:50 善通寺駅］







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