【夏目友人帳】嗚呼、あなたは (ページ20)

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瞳ページ20

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『べつに。

気にならないわ』

そう言ってこちらに顔を向けた。

『妖は友人。それだけで十分かなって』

この考えは変かな？

Aさんの目がそう訴えていた。

「……さっきみたいな……」

『？』

「さっきみたいな危ない妖もいます…。

今後出会う妖すべてが友好的とは限りません」

『そのときはそのときね』

「だめです!!」

思わず大きい声が出た。

「っ…だから、あの…、

もったいない…って…思います」

『もったいない？』

「…はい。

せっかく妖に対して恐怖や不信感がないのに

妖きっかけでそういう感情を持ってしまったら

もったいない…と思います」

危ない妖もいるということ。

「妖のことで危ないことに巻き込まれることもあるかもしれません。

そういうことを覚えておいてください」

危ない目に合うかもしれないということ。

前提として知っておいて損はない。

そう思って真剣に話をしているのに

『なんだかお母さんみたいね』

なんて茶化すような言葉。

「あのですね…!」

言い返そうとAさんのほうを向いたら

笑ってるはずなのに

なぜだかそれがとても切ない表情にみえて

結局俺は何も言えなかった。

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