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「……この子、俺の連れだから。手出さないでくんねぇかな」
「はぁ？泣かせたのあんたじゃねぇのか」
「……っ、関係ねぇよ。
…とりあえず消えてくれ」
鋭い口調で樹が言い放つと、男の人はゆるりと立ち上がって夜の街へと消えていった。
私の止まらない涙を隠すように、樹は上着を脱いで、頭から被せてくれた。
キツいバニラの香水の匂い。
あの女の人の存在を感じさせて苦しいけど、今は自分に向けられているその優しさが嬉しい。
「……ここじゃ目立つから移動しよう。立てる？」
「……う、うっ」
「……怖いかもしんないけど、ちょっと触るよ」
樹は私の両肩に手を添えて立ち上がらせ、路地裏のベンチまで連れてきてくれた。
ビルの隙間で音が籠り、光もあまり届かない。
その薄暗い空間で暫く深呼吸をしていたら、少しずつ落ち着きを取り戻した。
「……A」
どくん、と心臓が脈を打った。
先日体育館であった時は呼ばれなかったのに。
…私の名前、覚えててくれたんだ。
「…な、に」
「…ごめんな」
掠れた声で囁くように言われたそれに、心拍数が増す。
…迷惑をかけたのは私なのに、どうして樹が謝るの。
「俺…Aはこういう所好きじゃねーと思ってたから。あんなのどうせすぐ捨てるだろって、軽い気持ちで渡した。
……怖い思いさせてごめんな」
ぽろぽろと涙がこぼれる。
……思い出した。
樹は責任感の強い人だった。
「…ううん。私の方こそごめんなさい、迷惑かけて。…彼女にも悪いし、もう帰るね」
「…いや、あれ仕事だから。今戻っても、どーせ相手してくんねーと思う」
んはは、と樹は明るく笑う。
そっか。あれが樹の仕事か。
「…それに、またあーゆー目に遭っちゃ困るかんな。家まで送るよ」
「え…？いいよ…そこまで」
「いや、俺が無理だから。帰ろ」
「……ありがと」
……そんなの、誰でも好きになるに決まってる。
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莉帆(プロフ) - コメントありがとうございます！焦らずご自身のペースで更新されるのを楽しみに待っています！！上から目線見たくなってしまいすみません！ (8月24日 22時) (
レス) id: 68b2be3bb7 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 莉帆さん» 莉帆さん、コメントいただきありがとうございます！長い間手付かずの状態になってしまい申し訳ありません…՞߹ - ߹՞結末までの展開は考えてあるので、どうか気長にお待ちください…！ (8月24日 10時) (レス) id: ebf49800b8 (このIDを非表示/違反報告)
莉帆(プロフ) - 初めまして！樹と主人公の関係や樹の過去、�眞呂箸隆愀犬世辰燭蟲い砲覆蠅泙后�早く続きが読みたいです！ (8月8日 1時) (レス) id: 68b2be3bb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すず | 作成日時：2023年5月21日 2時
