緑の自転車 ページ3
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N side.
一日の退屈な授業が終わって(俺は全部寝てたけど)
周りの生徒たちが帰り支度を始めだす。
さあどこに行きますか！となるはずが
今朝は二人ともガンダッシュだった為に、移動手段が徒歩しかないというオチ。
「あー… じゃ相葉くんの借りよ！
後で言っとくし、多分大丈夫。」
得意げにそう言った翔ちゃんは
置き場の中から、緑のかっこいい自転車を見つけ出した。
いやいや、それ相葉さん使うんじゃないの？
下校時になかったら普通びっくりするよ？大丈夫？
…まあいっか、あの人優しいし。
相葉さん、ってのは翔ちゃんの友達の一人で
どうも前に部活が一緒だったらしい。
うるさくてちょっとアホだけど
超がつくほどいい人ってのは俺も知ってる。
まあ一応同じクラスだし
たまに変な声で笑いながら俺にも話しかけてくれる、太陽みたいな人。
「はい、翔ちゃん後ろ乗って」
「ええまたぁ〜？もう俺恥ずかしいんだけど、」
いやいや…だって自転車1台しかないでしょうよ。
ほら早く。
しょうがないなぁと呟きながら
翔ちゃんはしっかり俺に掴まってきた。
二人乗りする時は
大体いつも俺が翔ちゃんを乗せてあげている。
翔ちゃんはかなりの不器用で
自転車すら危なっかしいからもう見ていられないのよ。
…ここで俺の頭の中の翔ちゃんがバカにするな！と
ぷんすかしているようだけど俺は気にしない。
まあ本当は翔ちゃんが普通に乗れることぐらい
俺も分かってるけどさ
危ない目に遭わせたくないのよ、綺麗な人だから。
「にの、俺の行きたいとこわかった？」
「海でしょ？」
「はは、正解。にのはすごいな、ほら行こ！」
それだけ言うと
俺の背中をバシッと叩いた翔ちゃん。
音はしたけど全然痛くない。
バシッよりペシッて感じ。一緒か。
昔から変わらない力加減に頬を緩ませ、
思いっきりペダルを踏んづけて。
二人を乗せた自転車が、
穏やかな白南風を切って走り出した。
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作者名：kako | 作成日時：2020年5月24日 20時
