▼ 呪術高専に愛され狙いが出現した【呪術廻戦】

手を ページ35

.





手を掴んだ。





奈落の底へ落ちようとした彼女の手は、やっぱり綺麗な手をしていた。





「こういう時にぃぃ、っ自力で上がれるくらい身体鍛えとけよ！！！」





バ怪力を駆使して引っ張り上げようとする。
しかし奈落の底から湧き上がり、彼女の足に巻きついた手がそれを阻止。



私に力勝負を挑もうと？片腹痛いわ！！！
腹刺されたけど！！



でもキツイ、正直言って死ぬ程強い、私が苦戦するだって？
彼女が引っ張られるに従い、私まで落ちかける。







「なっ……に、してんだ！！！」





私の身体が掴まれた。

そしてぐいぐい引っ張られる。



「グェェ普通に腹締まって死ぬ！！！」

「耐えろオラ！！その為の筋肉だろうが」



絶対違いますけど！！！

我が胴を掴み引っ張るは親友、マキ。



そしてその後ろでえいやそいやと続いて引っ張る同級生後輩ズ。

あっこれカブ取りじいさんのやつ！！





「何してんだお前はっ、美月！！いっっつも面倒かけやがってこの馬鹿後輩が！！」


「美月ィ！！お前、落ちるんならもっとちゃんとした大人になってから落ちろ！！いや落ちたらダメだわごめん！！」


「ツナ！！エビっ……ツナマヨ！！」


「バカじゃないの美月ィっ！！てか何なのよこの穴！？！？」


「最初からお前はっ、イカレた奴だと思ってたが、くそ、鵺！！」





しかし阻まれる。

彼が出した“鵺”は穴へ接近しようとするも弾き飛ばされ空を舞う。


棘くんの呪言ですら無効化するこれは何だ？





ずるずると引っ張られていく。深淵の底へと、


戦力差が、あまりにも。





そして、彼女が口を開いた。







「……っ、触るんじゃないわよ！！！」







彼女は持ってたナイフを私の腕に突き立てた。

思い切りぐさぐさ刺してきて、でも私の腕はその刃すら通らなくて。



涙をぽろぽろ流す彼女は、悔しげに私を睨みつけていた。






「離してよ……！！もう、離せよ、」


「離さんからな、美月さん。絶対引き上げて、前世と、今世の分も全部っ、含めて、思いっ切りぶん殴ってやるから！！！



だから、絶対この手は、死んでも離さん！！！」





その声を聞いた後ろからヤジが飛ぶ。
離したら私が多分殺されるやつだわ！！



ああくそ、どこまでも迷惑かけやがるこのバカ後輩め！！



力の限り引っ張る。
彼女はやはり泣いていた。



泣くくらいならもう片方の手を伸ばせ！私の怪力のせいで腕捥ぎ取れちゃうよ！！



.

彼女は→←『 お前は 』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す