第103話「むしゃくしゃ」 ページ19
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訂正。肩に手を乗せようとしたけど普通に遠かったので腕を掴んだ。
巨漢はゆっくり振り返り、私を見下ろす。
「何の用だ」
「用しか無いです。ふざけてんのかお前」
「あ?」
「さっき、業者呼んで、直してもらったばかりなんです。この建物」
掴んだ手に力を込めた。
微かに目を見開いた巨漢。
そして周りで「あれ、Aさんじゃん」「しゃけ」とか聞こえてきたがスルー。今は君らに構ってられん。
巨漢は頰を指で掻き、ああと小さく呟いた。
「それは済まなかったな」
ぶちっ、と私の中の何かが切れた音がした。
しかしそんな私に構わず、巨漢は私の手を振りほどくと「では後は頼んだ、用務員さん」と奴は、奴はそう言って歩いて行く。
ダッシュで追跡し、その前に立ち塞がった。
周りで「おいアンタ!」と知らない人の声が聞こえたが無視。
「………何の真似だ?いくら非呪術師の女と言えど、俺の邪魔をするなら許さ」
「お前のせいで一からやり直しだよざけんなバーーカ!!!!くたばれ!!!!!」
振り上げた足は彼の股下に綺麗にヒットした。
所謂金的キックである。
世にも奇妙な声を上げて蹲った巨漢。表情は悶え苦しみの境地みたいな有様である。
そんな奴の前にしゃがんでチョンマゲを掴んだ。
「お前何してくれてんの、どんだけあの対応怠いと思ってんの!?上に許可取って業者にアポ取って日にち決めて時間指定されていざ取り掛かってからも色々指示受けてフォローしてメンドクセー応対もしてようやく直してもらったと思えばこれだよ!!!!!
バカかお前、済まなかったの一言で済むなら警察も私も業者も事務員も要らねーーんだよ!!!!!もっと腹から力出して声出して詫びろ!!!!土下座して許しを乞えよ!!!!」
「……っ、っす、すみま、グッッ……!!!」
「謝罪だけで足りっかよ!!!!!」
オラァボケゴラァオラァチョンマゲ!!!と首を掴んで揺さぶる私を背後から誰かが羽交い締めにした。
「ちょっ、ちょ、Aさん!?!?どうしたのねえ!!アンタそんなキャラだっけ!?」
「地獄を見せてやるよこのクソチョンマゲこの野郎!!!!」
「あっダメだこれ!周り見えてねえ!!」
ギャーギャー喚く私と押さえるパンダ、その近くで「どうどう」みたいな軽い感じで抑えようとするイヌマキくんと未だ悶え苦しんでる巨漢。
遠くでその様子を見ていた彼は呟く。
「なんだこれ」
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なぎさん(プロフ) - めっちゃ面白かったです!素敵なお話ありがとうございます!! (9月17日 23時) (レス) id: 3e92d95cce (このIDを非表示/違反報告)
しろごま - 面白いです!あまり人の事には突っ込めませんが更新頑張って下さい! (2022年9月24日 7時) (レス) @page26 id: 4dc97dea49 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - もう呪術は書かれないのでしょうか… (2021年7月16日 0時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
あいねこ(プロフ) - コメント失礼します。今まで読んだ作品の中で個人的に一番好きです!更新頑張ってください! (2021年1月2日 18時) (レス) id: a4bed0c9af (このIDを非表示/違反報告)
. - 凄く面白かったです。続きが読みたい!!! (2020年12月17日 5時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月30日 19時