「そのままで大丈夫」 ページ7
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「おっ次は黒名か、ヨロシク」
「ここだけ大洪水でも起こったのか」
汗ビッショリの状態で手を上げたらドン引きしたような顔をした黒名。
「ゴメン、筋トレ後だから臭いよね。ちょっとアンリさんに交渉して時間ずらしてもらうよ。シャワー浴びたいし」
「良い良い、そのままで大丈夫」
「良くないだろ。こんなビッシャリなんだぞ」
「男のムサイ汗臭さと違って、汗と女性らしい良い匂いが混じってとてもイイと思うから構わない」
「お前の性癖みたいなのが垣間見えてちょっと困惑しちゃったよ」
黒名に肩を掴まれながらそう言われてもどう思えってんだよ。
ともかく汗ヤバいし着替えるわと言えば少し落胆した様子の黒名。ここで着替えようとしたらまた電流を食らうだろうと考え、面倒ながら隣室に移動。
「お待たせ」
汗もしっかり拭いて準備万端。
いつものメイド服に着替えて黒名に茶を出しイスに座る。
「さっきのTシャツ、かなり独特だけどAさんらしくて良いと思う」
「あれ(もやしTシャツ)寝巻きに使ってる。お気に入りなんだよ」
「でもやっぱりAさんはその姿が一番だ」
「そうか。んで?黒名は悩みとかある?」
「なやみ……?」
「お前らもしかして此処へ暇潰しに来てる?」
黒名をガン見して言えば「無い無いそんな事は無い」と首を振っていたけどそんな事あるだろ。
そう思ってたら黒名は自身のアイデンティティ(三つ編み)を解いた。そのまま手に持った髪ゴムを自身のジャージのポケットに仕舞う。
「髪が解けたから結んでほしい」
「不要な悩みを捻り出すんじゃねえ」
悩みあるやつだけ来いよ。何で悩みが枯渇してる奴らだけ来んだよ。人生疲れたとか彼女欲しいとかもっとあるだろ男子高校生!!
「髪ゴムも紛失したからAさんのくれないか」
「ポケットの中に入れたそれは髪ゴムじゃねえのかよ」
「Aさんのが欲しいから言ってるんだ」
「盗人猛々しいな」
堂々と言うんじゃない。
溜め息を吐いた。マジでこれ私いる?ちょっと不安になってきた。クローゼットの中にあるボックスを開けてみると予想通り私が使ってた髪ゴムと櫛があった。
「黒名、自分用のクシって持ってる?」
「無い」
「……他人のクシ自分の髪に使われるってかなり嫌じゃない?」
「俺は全然気にしない」
気にしろよ。クシは苦死とも言うんだぞ。
人の負の感情を共有するって事なんだぞ。
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シナモン - とても面白かったです‼士道最高でした‼ (11月23日 10時) (レス) @page36 id: 8b3e9c667d (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - いつまでも応援してます (10月28日 18時) (レス) id: 76125fe83b (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 面白かったです!!すごく!文才を感じました! 是非また更新してくださると嬉しいです!! 応援してます! (7月27日 1時) (レス) @page36 id: c33439ae2b (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - もしかして更新終了してしまいましたか…? (6月23日 23時) (レス) @page36 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
ペペのん - え……お…終わり!?でも、この作品とっても面白かったです!! (6月23日 18時) (レス) @page36 id: 97854132f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2023年3月23日 0時