▼ 青い監獄に愛され狙いが出現した【ブルーロック】

「聞く義理は無えな」 ページ32

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対して國神は「うっせえな」の一言である。
あ？何だお前、地上のAさんは無敵なんだぞ、分かってんのか？



「やめろマジでやめろ、こんな姿晒したら一生アイツらの笑い者だ、ウワーークソッ動け私の身体ぁ！！」

「黙れ、落とされてえのか」



「本望だわ。這いずってでも着いてくから降ろしてくれない？」



「それを聞く義理は無えな」



普通に無視して歩いて行く國神。
完全に腰が引けている私はされるがまま、である。



この私が。



　



「っえ、國神……？な、何でAさん抱えてんだよ」

「るせぇな、テメェに関係ねえだろ」



遅い夕飯を食べていたのは潔だけであった。
スプーンにカレーを乗せたまま硬直している姿は少し滑稽である。



「気にしないで潔。ちょっとした戯れみたいなものだから」

「高いとこから落ちて腰が引けちゃったメイドさんを運んでやってんだろ？」

「このボケカスクソミソイカれサイコパス野郎」



何をいけしゃあしゃあとてめえ。

潔は酷く驚いた様子で「えっ、あのAさんが……！？」とこぼした。



「潔、お願いだ。お願いだからこの事は墓場まで持って行ってほしい。じゃないとダメだ、止む無い、お前の首をへし折る他無くなる」

「いや言いませんって！脅しかけなくても俺誰にも言いませんから！」



そんな問答の間にも我関せずといったように國神は歩いて行く。
「絶対だからねーー！！」と叫ぶと潔は深く頷いていた。


これが士道とか凛とかだったら終わってた。



　



　



「不乱蔦さん」



楽しそうに談笑していた彼女。
心の底から穏やかな声が出た。



「……は？なんで、アンタがここに」

「選手の1人から注意を受けたよ。「部屋の外でバイトが騒いでて寝られない」って。選手と喋っちゃダメって訳じゃないけど部屋の前で騒ぐのは違うよね」



「行くよ」と彼女の手を掴んだ。
傍に何も乗せてない電動一輪車が置いてある。

選手たちは戸惑ったような、「助かった」と言うような顔をしている。



「イヤッ、離して！仕事サボってたのはせんぱいでしょっ！」



「高いところのお掃除やるって言ってたのに、倉庫に脚立置いてあったもんっ」と泣く真似をしながら首を振る彼女。



今は憎しみより慈愛が勝つ。


　


「行くよ」


　


構わず彼女の手を掴み、歩いて行く。
ギャーギャー騒いでいるけど無視。





今はただ、私を見定めるかのように見つめるオレンジの瞳から逃げたい一心だった。



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