56. ページ6
side S.O.
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「ね、何度？」
「ん？っと…見ないほうがいいよ」
「そ？ なら、見ないでおく」
ニノが目を瞑っている間に計測終了の音が鳴ったから体温は俺しか知らない。
何度くらいあるか察したんだろうな。
「もうちょっとだけ、寝てもいい…？」
「ん、いいよ」
また起こしてやるから…って言おうとしたんだけど、もう寝ちゃってる。
マネージャーも気を遣ってか、ついさっき、現場に戻ってますって。
なんか俺も眠いわ…
でも俺が寝たら起こすって約束果たせないからスマホ見たりニノの様子確認したりしながらなんとか起きてた。
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ほんの十分程で顔色が少し良くなった気がする。
そろそろ起こすか…
「ニノ、そろそろ起きよ」
「ん……はよ、う…」
「うん、おはよ。どう？」
「うん…大丈夫。顔だけ洗ってきていい？」
「待ってるね」
そう言って起き上がろうとしてフラついたから、まあ俺にとっては想定内だったわけだけど、支えてやって。
一人で行けるか心配だったけど、大丈夫そうだったからついては行かなかった。
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「はい、お疲れ様でした」
カメラマンさんの声がかかった。
心配も多かったけど、流石ニノ。
仕事となればどんなに辛くても、最後までそんな素振りを一切見せずにやり切ってしまうところは本当に尊敬する。
薬のおかげもあるかもしれないけど、凄い事だ。
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前室で。
「大野さんありがとね。助かった」
「全然いいよ。この後は？」
「翔ちゃんと別の雑誌の撮影」
「え？まだ仕事あんの？」
「まあ…ね」
「えーー…行くの？」
「仕事なんだから当たり前でしょーが」
今日初めて、作った笑顔じゃない笑顔が見れた。
今朝会った時よりは足取りもしっかりしてるし、まあ翔くん一緒なら大丈夫か。
「なんかあったら翔くんに言いなね？あと俺、次夕方からで昼は暇だから俺に連絡くれてもとんでいけるよ」
「ふふ、ほんとに来てくれんすか？」
「当たり前でしょーが」
ニノの真似してやった。
「真似するなよ。もう何ともないからそんなに心配しないで？じゃ、俺行くね」
「うん…」
何ともないわけないと思う。
撮影の時、少しくっついてくださいと言われてその通りにした時はまだ少し熱かったから。
とりあえず、翔くんに今朝の事は一応連絡しておく。
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作者名：美菜子 | 作成日時：2018年6月29日 23時
