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「まだ冷やしてたの?」
気づけば手はありえないほど冷たくて、悪戯におついちさんのほっぺに持っていく。
もちろん、ちゃんと拭いて触ったよ!
「……冷たい」
「そりゃあ火傷しかけたからね。念入りに冷やさないと」
「怒ってるでしょ」
「怒ってないよ」
うっそだー!と食い下がるおついちさんにこんなところで嘘ついてどうするのよー!って。どこかのバカップルみたいなお馬鹿な会話を繰り広げる。
「……本当に、怒ってはないよ。ただ、寂しいなって」
「え、そ、そんなに僕がAのこと」
「じゃなくって!私をおいて、おついちさんが死んじゃったときを考えたらって話!……もし、おついちさんが私をおいて先に天国に行っちゃったら。私、その日まで待てる気しない」
弱々しく抱きつきながら、思いの丈を打ち明ける。
打ち明けたからと言って酒もタバコも制限するなー!って訳じゃなくって、もう少しだけ、すべての量を減らしてほしい。
……そう思って言っただけ。
おついちさんもそれはわかってる。
だから体を震わせながら強く、私を抱き締めてるんだ。
「俺ね、Aより先に死んだら。夏希の子供でもいいからまた夏希と一緒に暮らしてたい」
「……」
「んで、今度は俺がAの最後を見るの」
「……う、ん」
「だから、待っててほしいし、俺に縛られたくない」
「……なんで最後に、そんなこと言うの?私は、ずっとおついちさんといたいのにッ。ッんなこと言われたらっ!ちゃ……っとそのときまで生きてないといけないじゃん」
まだ、別れの時でもないのに、馬鹿みたいに溢れる涙。その涙は一粒も床には落ちない。
全ておついちさんの服や肌に落ちる。
「死は逃げられないから今が輝くんだよ」
そのときのおついちさんの顔は、とても輝いてた。
〜fin〜
兄者おすすめDVD……兄者さん→←死が二人を分かつ時……おついちさん
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作者名:nnanjokei | 作成日時:2018年4月4日 15時