イヤホン……兄者さん ページ7
兄者さんはたまに私とイヤホンで音楽の共有をする。
最初は恥ずかしくてたまらなかったのに、慣れとは怖いものでなんとか顔が赤くなるのは防げるようになった。
それでも心臓は痛いほど動くんだけど。
「……なあ、この歌良くね?」
「どれですか?」
「ん」
いつもように当たり前のように差し出される片方のイヤホン。
そっと受け取りつける。
「……確かに、アップテンポなところとか、何よりこの切ない歌詞が好き」
「Aならそういうと思った」
嬉しそうに笑う兄者さん。
この人は隠し事がうまいのか、下手なのか。
よくよく見ると兄者さんの両耳が、この時だけは赤くなっていることに最近気づいた。
あえて言及しないのは、兄者さん自身気づいてない可愛いところを独り占めするため。
「なに笑ってんだよ」
「兄者さんは可愛いって考えてただけですよ」
「んだよ、それ」
今度は全体的に赤くなる。
「……やめろよ」
頭を撫ではじめた私を、兄者さんは悪態をつきながらも好きにさせてくれる。
極度のツンデレさんだ。
その姿が、私の前だけでありますように。
そう、いない神に祈る。
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作者名:nnanjokei | 作成日時:2018年4月4日 15時