耳……弟者さん ページ6
ふと、私たちのためにお昼ご飯を作ってくれている弟者さんの耳に意識を持っていく。
「……そういえば弟者さん、イヤホンとかヘッドホン趣味でつけるの嫌いっ言ってましたっけ」
弟者さんは普段、動画を撮るときやライブの時、いつも比較的大きいヘッドホンをしている。
その姿が可愛くて好きな私は、ただヘッドホンをつけてみて。とお願いしたことがあった。
でも頑なにつけてはくれず、理由を聞いてもうまくはぐらかされる。
しつこくしてもお互いにいい気はしない。とこの時は諦めたけど。
耳が弱いのかな。なんて、とりあえず無茶な仮説を立ててみる。
そうやって、いらないことを考えると決行したくなるのは心理。
そっと足を確認する。ソックスは履いている。
弟者さんも私たちのお昼ご飯を作るのに意識がいってこちらの反応はイマイチ。
最高の決行日和だ。
「Aー。お皿出しうわぁぁぁぁあああああ!!!」
「……」
後ろにそっと立ってフッと息を吹きかけると、耳を真っ赤にして両手で抑える弟者さん。
事実いけないことをしているのだが、違う意味でいけないことをしている気分になる。
「ちょっと?!俺今火傷しそうだったけど?!」
「ごめんなさい!そんなに驚くなんて思ってなくて!それで、その……可愛いっです」
「全然フォローになってないよ!!」
弟者さんは、もー。と怒りながら慌てて出したお皿を受け取る。
「お昼ご飯食べたら、俺の部屋に来ること」
「……え」
「わかった?」
有無を言わせない瞳は、野獣の目になっていた。
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作者名:nnanjokei | 作成日時:2018年4月4日 15時