切望……おついちさん ページ12
私とおついちさんには年の差がある。
そのせいか、私が何かいけないことをして怒られる時は大体大人が子供に注意する。程度の怒り方だ。
「……子供、扱い」
「どうしたの?唐突に膨れっ面して、可愛い!」
「……」
甘やかされるのは嫌いじゃないし、嫌じゃない。
だけど、おついちさんと一緒にいられないって目に見えてわかると時々辛くなる。
「……おついちさん、別れよう」
「……うん?!きゅっ急にどうしたの?!」
少しだけでも本気で怒ってほしいという意味を込めて仕掛けた何とも幼稚なトラップに、あのおついちさんが易々と引っ掛かるのは、本気と取られてないからかはたまた自惚れではあるが自分の想像よりも私はおついちさんに惚れられているのか。
後者ならとても嬉しいはずなのに、分かりやすい程の動揺が今のひねくれた私には嫌気がさす。
「好きな人ができたの」
「……」
嘘に嘘を重ねる度に、おついちさんが無言になっていくから上げていた視線が段々と自分の太ももへと移動していく。
「Aちゃん、もう一回、俺の顔見ながら言って」
声色が酷く冷たい。
反射的に下げていた顔をおついちさんの方へと向ける。
「……っ」
「ほら、言ってみて?」
いつもは、どこか冷たくも温かい目が、今は誰でも殺せそうなほど冷酷な目をしていた。
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作者名:nnanjokei | 作成日時:2018年4月4日 15時