香りに酔う……おついちさん ページ11
私は別に匂いフェチ、というわけじゃないが、おついちさんの匂いがすごく好きで、前に洗濯に使っている洗剤や柔軟剤の種類を聞いて真似をしてみたことがある。
けど、どうもそういう類いのものではなく、全然匂いが違った。
と言うことは、私が好きな匂いはおついちさんの体臭ということになるのだが。
「何よ」
気づけば考えは行動に変わり、私はゼロ距離までおついちさんに近づいていた。
ここで誤魔化しても怪しいのは変わらないので正直にいう。
「……え、変態?」
「違う!と思う!」
「いや、変態でしょ!」
想像通りの返答に頭を悩ます私をおついちさんは強く抱き締めた。
「人間にもフェロモンあるらしいけど、Aはそれを嗅いでんのかね」
「……やだ、変態みたい」
「変態でしょ」
さっきの話の直後にぎゅーっとさらに強く抱きしめるおついちさんの行動が、動物のある行為に似ていて、やっぱり人間も動物なのだと笑う。
「……おねむかな?」
「う……ん。おかしいな、いつもならまだ眠くないのに」
自然と重くなるまぶたを手で擦り、無理矢理開ける私をおついちさんは止め、頭を撫でてくれる。
「フェロモンは何も、モテるためとか性的な目的だけじゃなく相手を安心させる効果もあるらしいよ」
「なにそれ、迷惑」
「んじゃ、離れます?」
言葉と一緒に緩められる腕が少し寂しくて自ら抱き寄せる私を、おついちさんは少し笑って、また抱きしめてくれる。
こんなにさみしがり屋じゃないのに、おかしいな。
でも、いま幸せだからいいか。
そう思いながらおついちさんのうでのなかで眠りにつく。
〜fin〜
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作者名:nnanjokei | 作成日時:2018年4月4日 15時