私のヒーロー名は ページ46
｢えぇ、緑谷いいのかそれ！？｣
｢うん。今まで好きじゃなかった。
けど、ある人に"意味"を変えられて、僕には結構な衝撃で...嬉しかったんだ。
これが僕のヒーロー名です｣
デク。
そうホワイトボードに書いてあった。
デクは、変わったな。
なのに私は、あの時から何も変わってない。
｢あとは...万能さん、考えてみた？｣
｢え！？あ...その、発表しないとダメですか？｣
｢え？何、決まってたの！？
もうー！早く言いなさいよ！ほらこっち！！｣
｢え、あ、ちょｯ...｣
ミッドナイトに腕を引っ張られて前に出された。
いやいや、せめて心の準備をさせてよ！！
こういうの苦手なんだってば！！
｢いや、あの、発表したくないというかなんというか...｣
冷や汗がダラダラと流れる。
目線でデクに助けを求めるが、私のヒーロー名が気になるのか、キラキラした目を向けてくるだけで気づいてくれなかった。
このヒーローオタク！！←
かっちゃんの方を見ても鼻で嗤われただけだった。
くそ、顔が残念になる呪いでもかけてやろうか←
｢もう！もったいぶらないの！！
いい？この発表は決意表明も込みでやっているの。自分のなりたいヒーローをここで宣言して、自分の見据える目標にするの｣
なりたい、ヒーロー...
私は伏せていたホワイトボードを強く握り、ゆっくり上げた。顔は恥ずかしいので伏せたまま。
｢..."エデ"。
これが私のヒーロー名、です｣
｢あら？どういう意味かしら？｣
ミッドナイトが、私を気にかけながら聞いてくる。さてはこの人、私がこういうの苦手なの分かってて前に引きずり出したな？
｢...フランス語で、助けるって意味です。
私は、たくさんの人を、
ヒーローとして、
一人の人間として、
助けられる人間になりたい｣
そうだ。私は、ヒーローにならなきゃいけない。
そうしないと私はきっと、あの人のいう通りに、道を外れてしまうから。
それだけは、嫌だ。
｢うおぉ！流石万能！かっけぇ名前だな！！｣
｢可愛いー！！｣
｢万能、すげぇネーミングセンスいいな！！
フランス語とかやべぇ！！｣
皆がそう言って盛り上がる。私は何だか、肩の力が抜けた気がした。
この優しい人たちの隣で、私はヒーローになれるだろうか。
道を外れることなく、今ある迷いを消して前に進めるのだろうか。
私は、嫌な方向に進みそうな考えを止めてスタスタと席に戻る。
｢爆殺郷！！｣
｢違う。そうじゃない｣
かっちゃん...
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作者名：夢桜 | 作成日時：2019年3月20日 20時
