約束 ページ30
｢私の大好きなデクは、笑って助けるんでしょ？
お願いだから...心配させないでよ｣
私は、彼を抱きしめる力を強くしてそう言った。
｢...Aちゃん｣
デクは優しく、私に声をかけた。
｢...ごめんAちゃん。君の気持ちを、蔑ろにしてた。Aちゃんを守れるヒーローになりたいって言ったのは僕なのに、Aちゃんに心配かけるようじゃ、ダメだよね。
......だから｣
私はデクから離れ、彼と目線を合わせた。
｢約束する。もう、Aちゃんに心配をかけないで...笑って、助けられるようなヒーローに、なってみせる｣
デクの目には力強い熱があった。
その言葉を聞いた私は少しだけ、頬を緩ませ、
｢うん。...頑張れ｣
彼を激励した。
そして、ようやく私は我に返り、
｢あっ、ご、ごめんデク。頬叩いちゃって...怪我してるのに。
...痛かったよね？｣
私はデクの頬をさすった。デクは微笑んで、
｢大丈夫だよ。Aちゃんのおかげで目が覚めたって感じだし。
それに...嬉しかったから。
君が、僕の為に怒ってくれて｣
彼のその言葉で、私は、頬に熱が集まっていくのが分かった。
言ってて恥ずかしくないのかな...
やっぱ天然タラシか。←
｢オイオイッ！いちゃつくのもいい加減にしろよリア充が！！当てつけか！？｣
目を充血させ、瞳孔の開いた峰田くんが叫ぶ。
目から血が出そうだよ？←
そんな峰田くんを蛙吹さんが舌ではたく。
麗日さんは何かキャーキャー言ってて、飯田くんは変なポーズで固まって...あれ息してる？←
｢えっ、あ！ごめん！？｣
デクはアワアワして挙動不審になる。
｢ハイハイ、話は終わったかい？それなら手術するから行った行った！｣
そう言われて皆で出ていこうとすると...
｢あ、Aちゃん。何で轟くんのこと...｣
デクが声をひそめて聞いてきた。
｢あ...ゴメン。立ち聞きするつもり無かったんだけど、聞いちゃった｣
｢...そっか｣
｢でも、さっきはああ言ったけど...デクは轟くんを救ってあげられたんだから、そこは誇りを持っていいと思うよ。あ、怪我は別だからね｣
｢アハハ(汗)
...けど、Aちゃんにそう言ってもらえるとやっぱり嬉しいな。二回戦、頑張ってね｣
｢......｣
｢Aちゃん？大丈夫？｣
｢っあ、うん、大丈夫。...頑張るよ。じゃ｣
私は、デクにそう返して部屋を出ていった。
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作者名：夢桜 | 作成日時：2019年3月20日 20時
