どうか ページ29
WHAKOOOOM！！！
二人がぶつかる瞬間、スタジアムに起きた高威力の爆風。
『何今の...お前のクラス何なの...』
『散々冷やされた空気が瞬間的に熱され膨張したんだ』
『それでこの爆風ってどんだけ高熱だよ！ったく何も見えねー、オイこれ勝負はどうなって...』
｢っ！緑谷くん...場外。轟くん___三回戦進出！！｣
こうして、白熱した戦いは幕を閉じた。
そして私たちは今、デクを心配してリカバリーガールのところまでやって来て、ドアを思いっきり開けた。
｢デクくん！！｣｢緑谷くん！！｣
来たのは、私をはじめ、麗日さん、飯田くん、蛙吹さん、峰田くん。
｢みんな、次の試合...は｣
｢ステージ大崩壊の為、しばらく補修タイムだそうだ｣
｢怖かったぜ緑谷ぁ。あれじゃプロも欲しがんねーよ｣
｢塩塗り込んでくスタイル。感心しないわ｣
｢うるさいよホラ！心配するのは良いがこれから手術さね｣
｢｢シュジュツー！！？｣｣
｢......｣
｢A...ちゃん？？｣
ずっと黙っている私を不思議に思ったのか、心配そうにこちらを見るデク。
私はズカズカと足を進め、デクの前まで来た。
｢どうしたの？｣
心底不思議そうに私の顔を覗く彼に苛立ち、私は衝動的に彼の頬を叩いた。
｢...バカ｣
デクは驚いた顔で、私を見ていた。
｢ちょ、Aちゃんどうしたん...｣
｢デクはｯ｣
麗日さんの声を遮り、私は言った。
｢デクはバカなの？こんなになってまで戦って...こっちの身にもなってよ。どれだけこっちが心配したと思ってるの？｣
思わず顔を伏せた。
｢どうせ、轟くんに余計なお世話を考えたんだろうけど...これはやりすぎだよ。手術？
デクは多分、自分のやったことに後悔してないだろうし、別に私も、デクのその思いを否定したいわけじゃない。
私は、そんなデクが好きだからね。
だから...これだけは言っておく｣
私は伏せていた顔を上げ、彼に抱きついた。
｢...！？ちょ、Aちゃ...//｣
｢もうこんな無茶しないで。少しは...自分のことも大事にしてよ｣
彼を抱きしめる手が震えているのが、自分で分かった。
私は、ただ怖いんだ。
もしデクが、いつか私の側から離れて行ってしまったら、私は、生きる理由を失ってしまう。
もう、それほどまでに、私は彼に依存してしまっているんだ。
だからどうか、私にとって君がどれだけ大切な存在なのか、それを分かっていてほしい。
｢自己犠牲もほどほどにして。デクのこんな姿、私は見たいくないよ｣
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作者名：夢桜 | 作成日時：2019年3月20日 20時
