東屋敷 亜久李 ページ4
通学路となっている散歩道を、ゆっくり、まるで家に帰りたくないと訴えているかのような足取りで進む。
ランニング中のお兄さん・お姉さん。
散歩中のおじいちゃん。
隣を、風のようなスピードで走って行く自転車の高校生たち。
皆の顔は、幸せに満ち溢れたような…輝いている笑顔で…
…私は今どんな顔をしているのだろう…
そんな自分が嫌で、下を向き、歩幅を広くして、早歩きになる。
橋を渡って、右に曲がる…はずだった。
美央「っ…え…？」
いつも右に曲がると、人二人がやっと通れるぐらいの狭い道があるのに…
そんな道はどこにもなく、ただ壁があるだけだった。
いつもと違すぎることに、困惑していたのだろう。
私は、いつもと逆方向の左に曲がって走った。
ただひたすらにーーー
美央「…っはぁ…っは…もぅ…ここどこよ…っ…！」
はっと気が付いて、足を止めたところは、
知らない植物の生えている、緑のうっそうとした森林の中だった。
どこを見ても緑。上も下も。右も左も。
人は勿論いない。
動物も。虫さえも。
…こんなところ…初めて来た…
私の心は何故か落ち着いていた。
いっそここから出られなくなってしまいたい。
心のどこかで、そう思ってしまった。
…♪〜〜…ー…♪…〜♪…−
美央「！…誰…？」
かすかに聞こえる綺麗な音に意識を引き戻され、もう一度全方向を見渡す。
…否。見渡すまでもなかった。
私の前方訳100mほどに、枝葉に遮られながらもだが、黒いパーカー、黒いズボンが見え隠れしている。
私の足は、自然と、前方100mに向かって歩き出していた。
もうその彼の顔も分かるぐらいの距離まで近づいたとき、
カサ…カサ…と、散った葉を踏む音で気づいたのか、
彼が音ーバイオリンの演奏ーを止めて、こっちを見やる。
フッと息が止まったような気がした。
触れたら…通り抜けてしまうのではないかと思うような透明感のある白い肌。
染めたわけではないと一目でわかる、艶のあるさらさらとした茶髪。
暗くするわけでもなく、むしろ存在感を出している黒いパーカー。
そしてなにより…
一瞬、目を合わせるだけで全て読み取られてしまうかのような薄浅葱色の瞳。
彼に見惚れて硬直していると、
「ふっ…ｗこんにちわ。」
と、優しい笑顔で語りかけられた。
美央「…ぁ。えっと…こ、こんにちわ…？」
私はあわてて、返事をする。
ぺこりとお辞儀をするが、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヨーグルッピ?軍団長(プロフ) - 猫好き柱さん» おお！！お久っす！！鬼みたいな命令する人だ(((((失礼だろっ！！() (2020年8月23日 19時) (
レス) id: ca13edfdad (このIDを非表示/違反報告)
猫好き柱 - ヨーグルッピさん» やってください！(^^♪ (2020年8月23日 19時) (レス) id: 511b45b37e (このIDを非表示/違反報告)
ヨーグルッピ(プロフ) - みんと☆そら色☆さん» どぞどぞ〜♪ヨーグちゃん！！気に入っている呼び方だから、うれちい…まじすか！！好きっすか！！そんな褒められたらワイ頑張っちゃう…！！ (2020年8月4日 22時) (レス) id: ca13edfdad (このIDを非表示/違反報告)
みんと☆そら色☆ - ここのコメント欄借りるね、端末没収されちゃって、しばらくボード使えなくなっちゃって…ホントごめん、やらかしました（）呼び方はヨーグちゃんって呼ぶね！あとこういう話すきぃ… (2020年8月4日 22時) (レス) id: d4f7d0ff2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヨーグルッピ | 作成日時：2020年8月2日 20時
