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防音スタジオは靴を脱いで上がるのと、毎日床の拭き掃きを欠かさないのでピカピカだ。
玄関口になっている場所には小さな靴箱があるけど、私たちはそこに靴をきれいに並べるのも惜しいくらいに急いで上がり込んで、どちらからともなく熱く、長いキスをした。
ユンギのキスは、普段のぶっきらぼうがフェイクだって思うくらいに情熱的で、私は夢中になっていたけど、ふと思い出す。
この人、寝てない。
お疲れだ。
じゃあ、私ががんばらないと。
『あの、ユンギ、そんなよくなかったらごめんね。返品しても良いけど、とりあえず、何して欲しい?』
ユンギの細くて白い首筋に顔を埋めて、すんすんと匂いを嗅いで、ものすっごいいい匂いがするのにとろけそうになりつつ、ぐりぐりと頭を押し付けながら、リクエストを聞いた。
それから返事を待ちきれなくて背中を両手で撫でながら、肩甲骨の形をなぞって、ズボン脱がしてもいいかなーと腰まで下ろす。
YG「ヤア、あー、うーん、え、アー」
『なに?壊れた?』
YG「お前がえろ積極的すぎてこわい。Aってそうなの、スイッチ入るとそんなキャラだったの?ちょっと…刺激が強すぎるんですけど」
前かがみになりそうなユンギに、私は興奮してくれたことにほとんど感激して、
『あ、優しくされる方が好きなの?それは…めちゃ優しくさせていただいても、よろしいでしょうか…?』
と、バ ージンをいただくような慎ましい気持ちでお伺いを立てた。
そしたら、ユンギは呆れたように、手で目を押さえながらくっく、と喉で笑ってから、
YG「あー、いいから、黙って俺に、させて」
ちらっと、覆った手の隙間から、
YG「俺で、Aがアンアン言うのが見たいから」
そう、
筆舌に尽くしがたいくらいえっちな視線で、
私を誘惑した。
そうして、
私は彼の手指で鳴かされる、
ひとつの楽器みたいになって。
こんなに上手に楽器を愛する人間がいるから、
音楽は無限なんだと、
身を持って思い知った。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月30日 15時