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俺は、慌ててAのせいじゃない、と言いそうになってジンヒョンに手で口を塞がれた。

話を遮る人がいない空間に、Aが言葉を落としていく。


『相手の方を、部屋に一人で残してしまって、ごめんなさい』


…うん、それは、めちゃくちゃ焦ったから。


『怖かったと思います』


ほんと、怖かったよ。


て言うか、連絡先くらい書いていってよ。





『だから、昨日のことは…



忘れて欲しいと伝えてもらえますか?』





えっ




…なんで?





S「え、あの」

俺の顔色を見て、セジンヒョンがちょっと慌てたようだった。

『お互い名前も顔もよく知りませんし。通りすがりの事故だったんだと、それくらいの気持ちで、忘れてください』





あ、この先俺、


聞きたくないかも。








『私も、

忘れますから』





あー、





やっぱり。



あー…

だから朝、俺を置いて出てったのか。









Aの方は、昨日の夜をなかったことに、したかったんだ。








あー…オレ、振られてんじゃん。

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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時

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