地上の楽園 -に- 【JK】 (ページ10)

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『トイレいっれきまふ！』

アルコールの許容量を超えていることを自覚し始めたころ、これは一回頭を冷やすべき、と立ち上がった私は、椅子の背もたれに引っかかって転んでしまった。

その勢いで水のピッチャーが倒れて、私は何を思ったか、手を出して流れる水を受け止ようとしてしまったせいで着ていたシャツのそでも胸もびしょびしょに濡れてしまった。

頭じゃなくてシャツが冷えた…

FP「わあわあ、A、大丈夫？」

『だいじょぶ！だーいーじょーぶーでーすー』

あはは、と笑う私にフィリップさんはオロオロとおしぼりで拭いてくれた。

良い人だな、ほんとに、と胸があたたかくなる。

誘っちゃおうかな、本当に、と思っていたら、後ろからぐっと腕を引かれた。

「Aさん、これ着て良いよ」

アリンの友達のメイクオンニが、控えに持っていたというスタッフTシャツを差し出している。

あ、これ長袖のやつ。

レアだ。

『惚れる』

私の言葉に、ぷっと吹き出していいからあげるよ、と言ってくれた。

無事にトイレを済ませて着替えて戻ると、

FP「今日のAはなんか変だなあ。ほっとけないよ」

フィリップさんがそう言って、私の頭をポン、と叩いた。

普段からそのくらいの接触はあるのに、なぜか今、その気安い仕草にドキッと胸が高鳴った。

これは、私が勇気を出すべきなんだろうか。

『あの』

『飲み過ぎたんで』

『送ってもらえませんか…？』

フィリップさんの顔は見れなかった。

なぜかって、私はまた再加熱した体を冷やすために、勢いよくお酒をガブリと一気に飲み干していたから。