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あの日の私の顔面は、アリンの作品だったから、元のこの顔は知らないはずだし、名前も知らないはず。
そもそも、マスクじゃん。
顔がわかる以前の話なのに。
…もしかして、声を聞いてきたから、ひょっとして声バレというやつ?
あー、平凡を積み重ねているはずなのに、声は確かに他と違う。
風邪で押し通せる?
いや、このコロナ禍の状況下で、無理でしょ。
明日から、どうしたら…と悩んだ末に、私がすがった先は、
セジンさんだった。
S「ヨボセヨー、どうしました?」
久しぶりの通話だったのに、セジンさんはすぐに出てくれた。
私は目の前にいたら抱きつかんばかりの勢いで、
『ヨボセヨオオオ!セジンさん、私、クビになりますか?』
と問い詰めた。
だって、私がこの会社に在籍していられるのは、あの日の相手に会わずに過ごせている限りなんだろうと、勝手に思っていたから。
それがジョングクさんだったなんてほんと、今日まで知らなかったけど、分かってしまったらもう駄目なんだと思って。
たった2ヶ月でまた仕事を奪われるのかと思ったら、泣きたくなってきた。
私の勢いに押されたように、驚いたセジンさんは
S「ん?なんで?何か仕事でやらかしたの?大体のことはどうにかなるから、とりあえず何したか教えてくれる?」
と、親身な声で聞いてくる。
ん?
なんか権力持った人が行使して揉み消す時みたいなセリフ言ってない?
『えっいや、仕事は順調です!そうじゃなくて。』
すると、セジンさんの電話の後ろで
「ヒョオオオオン!!!!」
と、さっき聞いたような声がした。
S「あ、ちょっとごめん。グク、電話中」
あ、もう話せないやつ。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年12月7日 14時