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「何が言いたいの、晋助」
えも言われぬ雰囲気に少しだけ眉をひそめる。晋助は「今度地球へ行けば、次の機会なんざもう暫くねェ」と一見脈略のない言葉を吐き出し。
「……だからお前ェは、どうしたい」
先ほどと同じ言葉を、ひとつ。私は思わず顔をしかめた。どうしたい？その問いはきっと私の意を問うものではない。きっと、なにかの裏返し。
「晋助は私にどうして欲しいの」
それが分かっていながら、意地が悪いと知りながら私は彼へそんな言葉を返した。
こちらを向かない彼の顔を窺うことはできないけれど、横顔からは少々の躊躇がなんとなく感じ取れる。
そうして。
「――俺ァ、お前ェが俺から離れていけばいいと思ってる」
その躊躇を振り切るように、塗り固めたような無表情で、一言。
文脈から、なんとなく予想はしていた。けれどなんだか、真っ暗闇にとけてしまいそうだった。
「……離れる？」
「地球にゃ、お前のいるべき場所が山ほどあらァ。ここと違ってな」
「いるべきって、なにそれ」
なに、その言葉は。まるで、今ここが、晋助の隣が私のいるべき場所ではないようなその言い草は。
宇宙の黒を見つめたままの晋助にいつぶりかの苛立ちが湧いた。同時に、悲しさも。
無表情を保つ晋助は静かに煙管の煙を吐き出している。吐き出された白は、闇に揉み消されていく。彼は一体、何をしたいんだろう。私に何を願うのだろう。
「……私がいたいのは晋助の隣だけだよ」
「そんなもん、ロクなもんじゃねェぞ」
「ロクなもんじゃないよ。ロクなもんじゃないけど、仕方ないでしょう」
私は晋助に惚れてるんだから。
付け足した言葉に彼は初めて無表情を崩した。その苦そうな顔で、「くだらねェ」と。
「俺の前にあんのは、破滅に続く道だけだ」
そんな甘っちょろいもんでどうにかなるような道じゃねェんだよ。
鋭い右目が、私を真っすぐに貫く。――晋助の言いたいことは分かった。
一見突き放すような台詞だけれど、裏にあるのは地球に行った方が私が幸せになれるんじゃないかとか、自分と共にいないほうがいいんじゃないかとか、そんなことなんだろう。それは、多分私のことを考えてくれているからだ。それは、わかった。
けれど、違うのだ。晋助が私のことを思ってそう言ってくれているならば、それはお門違いだ。私が望むのはそんなものではなくって。
「晋助、いい加減にして」
その鋭さに負けないように、私も彼を見返した。
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いたる(プロフ) - 最高に面白いです！文章もすらすら読めるし銀魂のキャラクターがめっちゃいきいきしてて、すごく読みやすかったです！ (2022年3月19日 18時) (
レス) @page35 id: 2538ecda96 (このIDを非表示/違反報告)
中村(プロフ) - 笑子さん» 私の方こそコメント通知を発見した時の私の喜び！って感じです(;_;) 亀更新で好き勝手書き散らかしてますがそんな風に言っていただけて本当に幸せです。笑子さんのことを笑顔にできるようなお話めざして精進します…！笑子さんもお身体にはお気をつけくださいね！ (2021年4月27日 12時) (レス) id: 662e82697c (このIDを非表示/違反報告)
笑子(プロフ) - 更新通知を発見したときの我々読者の喜び…！！いやほんと、下の方も言っていますけど泣きそうでした。中村さんの書く銀魂ワールドが大好きです。また更新を待ちながら過ごすことが出来ると思うと、本当に嬉しいです。色々と大変なご時世ですので、お体ご自愛ください。 (2021年4月3日 15時) (レス) id: c15918936c (このIDを非表示/違反報告)
なかむら(プロフ) - ろあさん» 作品ページ拝見して(きもくてすみません汗)気づいたのですが、お名前変えられたのですね!! 覚えて頂けていて、またお会いできて本当に嬉しいです。1番なんて恐れ多いですが…でもそう思って頂けてとっても幸せです。ろあさんもご自愛くださいね！ありがとうございます！ (2021年3月5日 12時) (レス) id: cefa07e7cb (このIDを非表示/違反報告)
ろあ(プロフ) - 久しぶりに占ツク開いたら更新通知が来てて泣きそうになりました、、！中村さんの銀魂小説が1番大好きです！同じ話を何回も何回も読み直してます ！某ウイルスや寒暖差に気をつけて、リアルの方も大変かと思いますが応援してます！ (2021年3月4日 12時) (レス) id: 00e13ca19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：中村
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時：2017年12月30日 18時
