アイマスク side総悟 ページ29
【総悟side】
―――それは、ある日の昼下がりのこと。
この時間帯特有の暖かな陽の光の下、いつも通り自室に寝転がっていた俺はあたりの騒がしさにアイマスクをずり上げた。
(……人の安眠妨害しやがって。)
その安眠が仕事を放棄した上で成り立っていたものだということは棚に上げておき。――それよりもこの喧騒だ。
普段からとても静かとは言えないこの場所であるが、それにしても今日は煩く思えた。
(…カチコミ…じゃねェだろうし。)
漏れ聞こえるざわめきに緊張感は走っていない。つまり血なまぐさくない何かがあったということか。………まったく迷惑な話である。
俺はあくびを零しながら再び両腕を頭の下にしまい込み、アイマスクを下げた。何があったんだかしらねーが今は何より寝ちまおう、面倒事にゃ興味もねーし。――そんな考えから瞳を閉じかけた、そのとき。
「――沖田隊長ォォォ!!!」
――スパァン、とそれはそれは騒がしく部屋の襖が開かれた。声から一番隊の隊士によるものだとわかる。
微睡みから急に引き上げられた不快感を微塵も隠さず、むしろ全面的に押し出しながら「切腹」と一言発するも、そいつはひるまないようで。
「んなこと言ってる場合じゃないですって!!」
「そーだな今すぐお前ェを叩っ斬る場合だった」
「そんな場合でもないです!!」
「……一体何があったってんだ」
いつもなら切腹と言ったあたりで土下座なり何なり謝罪モードに切り替わるはずの隊士が未だ強情を貫いていることに多少の疑問を感じ、問うてみる。無論視界はアイマスクで覆われたままであるが。
そいつは「それがですね、」と一瞬ためらうようすを見せたのち。
「――――お姉さんが、いらっしゃってます」
――正直、一瞬息が止まったことは白状しておこう。…………20字にも満たないたった一言に嫌な予感を爆発させつつ「誰の」と聞けば――「決まってるじゃないですか」
「沖田隊長のお姉さんですよ、今局長が応接間で話されてて」
だから隊長起きてください、と。なんだ、…言いたいことは多々ある。何がともあれ俺はようやく身を起こした。
アイマスクを取り払いそいつの真面目くさった顔を視界におさめ。………こりゃどうにもドッキリか何かではないらしいと察しながら、ひとこと。
「――なんつー笑えねェ冗談でィ、そりゃァ」
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中村(平日浮上なし)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!お陰様で一巻完結とさせていただきましたヽ(*´∀`)ノ亀更新にお付き合い頂きありがとうございます!!嬉しいお言葉も沢山頂けて嬉しい限りです…!! 次巻では多少進展させられると思うので…よかったらまたよろしくお願いします!(^^ (2017年2月11日 21時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - お疲れさまでした!次巻も拝見させて頂きます! (2017年2月11日 20時) (レス) id: 20b4c6b7f5 (このIDを非表示/違反報告)
主任(プロフ) - 中村さんの作品いつも楽しみに見させていただいております(^_^)今回も最高でございます…また生きる糧を頂戴致します(^_^) (2017年2月11日 19時) (レス) id: 55077c071d (このIDを非表示/違反報告)
唯月 - 凄く面白いです!更新は大変だと思いますが、これからも頑張って下さい!応援しています! (2017年1月28日 22時) (レス) id: 9cd5d172ad (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 私も田舎の方に住んでるので何かと共感できる部分が多くて嬉しいですw銀さんが用心棒……心強いですね。これからの展開が楽しみです。 (2017年1月28日 22時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2017年1月4日 20時