【銀魂】Don't touch me!!【沖田総悟】

ショーウィンドウ ページ45

――――――




「――さっむい」




雪がちらつく寒空の下、マフラーに顔をうずめながら。…震える唇を駆使しなんとか言葉をひねり出したのは他でもない私であって。



(…天パばかやろうめ。)



買い出しのため渡された財布をぎりりと握りつぶした。普通年長者が行ってしかるべきだというのにこんなか弱い女の子に押し付けるとは何事か。あのときグーを出しておけばと幾度悔やんだかわからない。

まぁでも幸いこの寒さだし人通りもさして多くはない。その点だけには雪にも感謝だななんて思いつつ、スーパーへむけとぼとぼ歩を進めていれば。




『――年末特番！密着！大江戸警察24時!!』




――そんな声が、不意に舞い込み。



(……警察。)



…足を止めてしまったのは我ながらバカだと思った。けどもどこぞの薄茶色を連想してしまったのだから仕方ない。

開き直りとともに声の方へ目を向けるとその主は電気屋のショーウィンドウの中に収まるテレビであった。『年末売り尽くしセール！』というチラシの向こう側で私も見覚えのあるオープニングが流れてゆく。



(…折角ここのところ考えずにいたのに。)



テロップに表示された“真選組”という文字に思わず眉根を寄せた。…無論この五日ずっと奴に会えていないことを思い出してしまったせいである。

恐ろしく険しい顔をして液晶画面を見つめていると、真選組屯所らしき場所へカメラが切り替わった。……無意識にそいつの姿を探してしまい、また眉間の皺が深くなる。――と。



「…あ、」



流石長寿番組というかなんというか、番組は主要メンバーの紹介を始めた。局長だというゴツイ男、副長だといういつかの黒髪、…そして、丁寧にも『真選組一の破壊魔』なんてテロップとともに登場したのが、



(……沖田さん。)



その名を――音にしてはいないけれど――言葉として思い返すのはいつぶりだろうか。ひどく、久しぶりな気がする。

最年少剣士やら甘いマスクやらと説明づけられるいつもの無表情に、溢れ出しそうな笑いをなんとかこらえていれば。

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