降る雪出るこたつ ページ42
――――――
――その日は、朝押入れから出たその瞬間から憂鬱であった。……それというのも、寝ぼけ眼をこする私の耳に届いた第一声というのが、
「――A!!初雪アルヨ!!」
…なんていう、無邪気を極めた神楽の言葉だったからであり。
心躍らせているらしき神楽とはきっと真逆の心持ちで私は窓へ駆け寄った。冷気を伝えるガラスの向こう側、見慣れたかぶき町の町並みはうっすらと白で覆われていて。
(……なんてこった。)
居間を見回せば天パも新八もいない。でも隣の部屋からはガタゴトなにかを動かしているような音が聞こえた。…覗き込んでみると布団やら机やらが視界に映る。………コレは、紛れもなく。
「キャッホゥ!こたつも出てきたヨ!ようやく冬の到来ネ!」
「……こたつ、出てきちゃったの…」
「…世紀末みたいな顔してどうしたアルカ?Aも好きデショ?こたつ」
「…好きだけど、好きなんだけど、可愛さ余って憎さ百倍みたいな」
部屋を覗いたまま項垂れる私へ神楽の怪訝な視線が向く。しかしこちらは暫く某おまわりの顔が見られないことを痛感し不本意ながらも消沈中だ。…憎い、あのぬくぬくとしたこたつが憎い。
(…こたつがもうちょっと不快な空間だったなら沖田さんも引きこもり根性芽生えさせないのに。)
よくわからない方向へ進む恨みがましい思いはとりあえず飲み込むこととして、…とにもかくにもため息をひとつ。…降る雪も出るこたつもどうしようもないのだ、諦めなければ。
逆に考えればこれで暫く他人の視線から解放されるのだ、暖かさに包まれて過ごせるのだ。そんなポジティブシンキングをどうにかして引き出しつつ。
「……よし。天パにさっさとこたつを組み立てさせよう。よし」
「大丈夫アルカ?白目剥きそうアルヨ」
「ばかそんなわけないでしょばか」
ほら行こう、と声をかけ、私はぬくぬくこたつライフへ身を投じたのだった。
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中村(受験生)(プロフ) - ことにゃ@時間ほちいさん» 返信が遅くなってすみません…!(;´д`)23ページ、直させていただきました!あまりにもアホな間違え方でもしご指摘頂けなかったら…と考えると恐ろしいです汗 本当にありがとうございます!!また何かやらかしてましたら、お知らせ頂けると嬉しいです! (2018年1月27日 19時) (レス) id: cd501a87b6 (このIDを非表示/違反報告)
ことにゃ@時間ほちい(プロフ) - はじめまして。以前から楽しくにやにやしつつ読ませて頂いています。ところで、23ページの驚いて背中を話してっていう文、離して、ではないでしょうか。 (2017年12月9日 18時) (レス) id: b97928b5e0 (このIDを非表示/違反報告)
鳥夢(プロフ) - び、びっくりしました!ここでこの作品が簡潔なのかと思いました!wこれからもゆっくりでいいので更新頑張ってください! (2016年12月18日 21時) (レス) id: 068b742e71 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日浮上なし)(プロフ) - 成瀬さん» コメントありがとうございます!中々番外編を書く時間が作れず申し訳ない限りなのですが、考えてはいますので気長に待ってもらえるととても嬉しいです…!ネタがぽんぽん浮かんでくれればいいんですが…笑 リクエストありがとうございました! (2016年12月18日 21時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
成瀬 - 今更なリクエスト何ですが猫かぶりの番外編を書いてほしいです (2016年12月16日 23時) (レス) id: 7fba721a26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月27日 1時