【銀魂】Don't touch me!!【沖田総悟】

残った一つ ページ31

沖田さんのことは嫌いじゃない。沖田さんに触れられることも嫌いじゃない。はねる鼓動は、どこかあたたかい。

見つけたいくつかの要素は何かを導き出せそうで私は静かに眉根を寄せた。



(……嫌ではなかったとして、この感情は。)



嫌じゃない。嫌いじゃない。何も思っていないわけではない。いざという時助けを求めてしまうくらいには、他人という位置づけでもない。

じゃぁそれはつまりどういうことなんだろうか。私が沖田さんを避ける原因となった感情は、なにか。――考えるうちに思考回路は原点へ帰った。




(――そうか、まず根本的に、)




私は沖田さんのことをどう思ってるんだろうか。


ここのところずっとそれを主軸として考え事を展開してきてはいたけれど、“嫌じゃない”“嫌いじゃない”“他人でもない”などなど消去法ばかりだった。結局彼は私の中でどういう存在なのか、明らかにできていなかった。

だから改めてそれを確認すれば、……考え事も少しは前進するんじゃないか、という思惑である。




根気強く私の言葉を待ってくれているらしき沖田さんをちらと見上げ、その顔を観察した。――確か、最初は苦手だったけど。

でもなんだかんだで慣れてしまって、毎日なんてことのない言葉を交わして。意地悪されて捻くれながらも守ってくれたりして。……そんな沖田さんを、私は。




(…………私、は、)




――――すき？



自然と、何を意識したわけでもなく浮かんできた言葉に、大きな動揺が身を襲う。……好き？そりゃ、…否定する要素は、ないけど。

視線は沖田さんに固定したまま硬直しそうな頭を動かす。――いやいや、好きだとしても、それは認めても、……でもきっとそれは、…家族愛？のような。



多分確証はないけど、天パや神楽、新八へ向ける好きと同じ好きだ。友達とは違うし。




「…沖田さんは、………弟？兄？…叔父さん？」


「何の話してやがんでィ」


「こっちの話」




しかし例に挙げてみた響きにその人が合わなさすぎて頭を抱える。沖田さんが親族なんて…悪夢だ。……それに、



(……天パに触られたって、私の心臓は暴れない。)



また家族愛を否定する要素が、ひとつ。…見て見ぬふりをしたいそれだけれど、………そういうわけにはいかなくて。…だけど。



(…そんなこと言ったら、結論なんて、)



ひとつしか、見えなくて困る。

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