周期的人見知り side沖田さん ページ25
【沖田さんside】
――それはある日の昼下がりである。甘味でも食いに行くかと俺は甘味処へ繰り出していたのだが。
「…あれ、旦那じゃねーですか」
頼んだ団子を受け取ったあたりで入り口付近の見知った人影に気がついた。声をかけてみれば相変わらず死んだ魚のような眼がこちらを向く。
「今日もサボりか税金泥棒」
「税金納めてから言ってくだせェ」
放たれた皮肉に旦那は微塵のダメージも受けていないようだった。人間慣れとは言うがかつてこれまでに人に誇れない慣れがあっただろうか。
注文を聞きに来た店員には団子を頼み俺の隣へ腰掛ける旦那。そいつはちらりと俺の方へ目を向けたかと思うと、
「そういや、お前ら最近どうなの?」
…いつかを彷彿とさせる勘繰りを放った。以前なら否定を悪態でコーティングして返していたところだが――中々、俺も余裕がなくなっていたようで。
「……どうにも、またATフィールド発動させちまったらしい」
「…はァ?」
らしくなくも正直に白状してしまった。旦那の素っ頓狂な声に肩をすくめる。――しかし、事実だ。
ここのところの奴はといえばまさに人見知り武装モードというべき様子なのである。目は合わせねーし言葉は8割カタコトになっちまってるし。…明らかにおかしいのは確かだが、原因は検討もつかない。
「旦那、奴の人見知りってのは周期的に出てくる系のアレですかィ」
「んな重病人雇った覚えはねーよ。……つーか人見知り再発ってそれ大丈夫なの?」
「俺に聞きやすか、ソレ。まァ大分大丈夫からは程遠くなってやすぜ」
そりゃもう気に食わないことに。……どこが気に食わねェかというと――原因が未だわからないというのもあるが――何より自分がその他大勢に埋もれたような気がするからだ。
一度打ち破ったはずのもんを纏われて、そこらの通行人と同じ、…いやそれ以上に避けられるのはどうにも気に食わねェ。最近はそもそも公園に寄り付かなくなっていやがるし、あのアホ。
呆れと苛立ちの込められた息を吐き出せば旦那が小さく笑いを零した。
「……何か言いたいことでも」
「アレだアレ。他人の不幸は蜜の味的な?」
「集中的に不幸にしてやりましょうか」
「はっとばすぞクソガキ」
はっとばされるべきはどこぞのマダオだということに気づいているのか。心底気づかせたい。
いずれ報復してやろうと堅く誓い、思いつく限りの悪逆非道な策を脳内で練っていると。
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中村(受験生)(プロフ) - ことにゃ@時間ほちいさん» 返信が遅くなってすみません…!(;´д`)23ページ、直させていただきました!あまりにもアホな間違え方でもしご指摘頂けなかったら…と考えると恐ろしいです汗 本当にありがとうございます!!また何かやらかしてましたら、お知らせ頂けると嬉しいです! (2018年1月27日 19時) (レス) id: cd501a87b6 (このIDを非表示/違反報告)
ことにゃ@時間ほちい(プロフ) - はじめまして。以前から楽しくにやにやしつつ読ませて頂いています。ところで、23ページの驚いて背中を話してっていう文、離して、ではないでしょうか。 (2017年12月9日 18時) (レス) id: b97928b5e0 (このIDを非表示/違反報告)
鳥夢(プロフ) - び、びっくりしました!ここでこの作品が簡潔なのかと思いました!wこれからもゆっくりでいいので更新頑張ってください! (2016年12月18日 21時) (レス) id: 068b742e71 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日浮上なし)(プロフ) - 成瀬さん» コメントありがとうございます!中々番外編を書く時間が作れず申し訳ない限りなのですが、考えてはいますので気長に待ってもらえるととても嬉しいです…!ネタがぽんぽん浮かんでくれればいいんですが…笑 リクエストありがとうございました! (2016年12月18日 21時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
成瀬 - 今更なリクエスト何ですが猫かぶりの番外編を書いてほしいです (2016年12月16日 23時) (レス) id: 7fba721a26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月27日 1時