さっぱり陽気ライフ ページ21
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――折田さんに関わるごたごたから、はや一週間。久しぶりに外へと繰り出した私の重い足はゆっくりと公園の方へ向かっていて。
…無論、重さの理由というのは先日の動悸云々である。……いや断じて恋とかそんなものではないけれど。絶対に運動からくる動悸だったけれど。
どうしてか沖田さんへ謎の気まずさを感じつつ、しかし足を進めることさらに数分。目の前に現れた見慣れた公園といつものベンチに、見覚えのありすぎる黒い隊服が認められた。
数メートル先のそいつは私に気づくとゆっくり右手を上げ。
「――よー、引きこもり脱したか人見知り」
「…引きこもってない。疲れを癒してただけ」
「よく言う。どうせぬくぬく根暗ライフ楽しんでやがったんだろーが」
「私はいつでもさっぱり陽気ライフ」
対義語か、と沖田さん。いつも通りの会話をかわせたことに言い様のない安心が湧く。
いつものように団欒を楽しむその他大勢へは目を向けないよう気をつけて、沖田さんの隣へ腰掛ければ。
「…そういや、折田はとっ捕まった」
「………ほう」
「心底興味ねーだろィ」
「たぬきじじいの末路に興味を持てるようにはなりたくない」
繰り出されたのは事後報告であった。しかし折田さんがどうなろうと今更私の知ったことではないのだ。適当に流して視線を空へ投げる。
――そうして投げた先で、私はとあることを思いついた。
(………そうか、つまり。)
ここのところのムズムズも謎の動悸の正体も、試してみればわかること。もう一度同じような状況に立って私にどんなことが起きるのか確かめてしまえばいいんじゃないか。
青空が生んだ妙案に私は内心手を打った。なんと素晴らしい解決策なんだろう。――そうと決まれば話は早い。
「――沖田さん沖田さん」
視線の先は空から沖田さんへシフトチェンジ。「どーした」と彼がこちらを見下ろしたのと同時に言葉を続ける。
「沖田さん、ニヤってしてみて、ニヤって」
「…………はァ?」
「いいから」
ほら早く、なんて急かす私を不審そうに見つめる沖田さん。特に弁解することもなく彼の笑顔を待っていると――…にやり。
……いや、果たしてにやりと形容していいんだろうか。にやりというか…機械的に口の端を釣り上げたというか。目が笑っていないことだけは確かである。
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中村(受験生)(プロフ) - ことにゃ@時間ほちいさん» 返信が遅くなってすみません…!(;´д`)23ページ、直させていただきました!あまりにもアホな間違え方でもしご指摘頂けなかったら…と考えると恐ろしいです汗 本当にありがとうございます!!また何かやらかしてましたら、お知らせ頂けると嬉しいです! (2018年1月27日 19時) (レス) id: cd501a87b6 (このIDを非表示/違反報告)
ことにゃ@時間ほちい(プロフ) - はじめまして。以前から楽しくにやにやしつつ読ませて頂いています。ところで、23ページの驚いて背中を話してっていう文、離して、ではないでしょうか。 (2017年12月9日 18時) (レス) id: b97928b5e0 (このIDを非表示/違反報告)
鳥夢(プロフ) - び、びっくりしました!ここでこの作品が簡潔なのかと思いました!wこれからもゆっくりでいいので更新頑張ってください! (2016年12月18日 21時) (レス) id: 068b742e71 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日浮上なし)(プロフ) - 成瀬さん» コメントありがとうございます!中々番外編を書く時間が作れず申し訳ない限りなのですが、考えてはいますので気長に待ってもらえるととても嬉しいです…!ネタがぽんぽん浮かんでくれればいいんですが…笑 リクエストありがとうございました! (2016年12月18日 21時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
成瀬 - 今更なリクエスト何ですが猫かぶりの番外編を書いてほしいです (2016年12月16日 23時) (レス) id: 7fba721a26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月27日 1時