偶然の一致 ページ9
――――――
「――はぁー……」
――と、ため息を落としたのは他でもない私だった。
いつもの通り引きこもり路線から外れるため外へと繰り出した私は安息所のひとつこと例の公園へ足を運んでいて。
もう定位置となり始めている入口右から4つ目のベンチ。そこへ腰掛けるのもなんだか久しぶりに思えた。
(……まぁ実際久しぶりか。)
実を言うと先日男が万事屋へ襲来してきてから暫く、疲労から家にとどまっていたのである。時間にしたら一週間ほどだろうか。
天パこのやろうには「とうとう覚悟を決めたか引きこもり」、神楽からは「外出できない人見知りとかもう救う余地ないアル」とまで言われ…、いよいよ危機感を感じ外へ繰り出したというわけ。
――しかし出てきてみればやはりここは落ち着いた。個々が好きなことをしている場所と知らない人同士しかいない場所と親しい人しかいない場所が私の一番心地よいと思える場所だ。
「――ふぅ、」
新鮮な空気を思い切り吸い込みながら、平日であるせいかどこか閑散とした園内を見回してみる。
茂みの横でダンボールに寝転がるホームレスの経緯をぼんやり頭の中で想像していれば―――…、
「……!」
――不意に、公園入口あたりに現れた黒い人影。
恐ろしいデジャヴを感じちらりと視線を向けると……見覚えのある男が、何を考えてるんだかわからない顔で歩を進めていて。
(…えっいやいや、えっ。)
―――他でもなく、あの男である。……いや待って私、落ち着け!!
冷静に考えればこの間だってあの男は公園に来ていたのだ。彼もここの愛用者なのかもしれない。そう思うと以前から見覚えがあったような気もしてくるし。
だからこうやってまたここで鉢合わせるのもありえないことではないのだ。偶然の一致というやつだ。そんなに驚くことじゃない。
つまりいつも通り私はただここに座って、普通にぼうっとしていればいい。なぜならあの男は他人だから!決して関わりを持つ必要はない!
そうしてなんとか自分の気持ちを鎮め、ふぅと息を吐いた。如何にも気づいていませんよという風を装って、決して奴と視線が交わらぬようホームレスへ固定する。――しかし。
「――……!!?」
それを固定して、数秒。――ギィ、とお尻の下の板数本が軋んだ。ビクつきながら左隣へ視線を向けると、…そいつが真隣へ腰掛けており。
(……いや、いやいや、)
――――どうしてこうなったァァァ!!?
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中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!お陰様で一巻完結とさせていただきましたー!次は多少進展する、はず、です!よろしければ続編もお付き合いください(´∀`*) (2016年11月27日 1時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル(プロフ) - 1巻完結おめでとうございます!! 続編お待ちしていますッ><// (2016年11月27日 1時) (レス) id: ee46f2da27 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 中村さんの作品、どれも楽しく読ませて頂いています!!この作品ももう神作品・・・!!!これからも応援しています!続編待ってます! (2016年11月27日 0時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(仮)(プロフ) - わあああああ!中村さんの作品はどれも面白いですね…!!私も中村さんのようになれるよう頑張ります( ˘ω˘ )小説もテストも、応援してます!\( 'ω')/ (2016年11月21日 15時) (レス) id: ad846d9b2e (このIDを非表示/違反報告)
朋花 - はじめまして!こちらの小説読ませていただいています。とても面白くて、更新されるのを心待ちにしてます。期末テスト、頑張ってください!応援してます! (2016年11月20日 16時) (レス) id: 9203abc5a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月13日 0時