呆然と ページ47
「――反論がないなら、今の計画のままでいきますよ」
「…けっ。アンタも見かけによらず強情だな」
「でなきゃここまで成り上がっちゃいません」
計画、とは何の計画だろうか。言葉の端々から悪巧みが窺えるあたりクロだろう。先日のやたら額の汗をぬぐっていた中年男性がこの襖の向こうにいるなんてとても信じられなかった。
微かに漏れる灯りに怪訝な視線を向けていると「んじゃアンタはせいぜいボロが出ねぇよう気をつけろよ」なんて声が響いて。
「それは誰に対してのボロですかな」
「全員だ。…犬にも、その人質にも」
アンタがボロを出せばこっちもそっちもおしまいなんでな、と。クツクツ折田さんが笑い声を響かせた。
「犬の方は言わずともがなです。人質は気づく様子もないですから安心してください。この三日何の疑いも持たず仕事をしてますよ。今もなにも考えず寝静まっているでしょう」
「……使用人どもに勘付かれて辞められたと聞いたときにはどうなるかと思ったが――任せていいんだな」
「えぇもちろん」
「…わかった」
その部屋では話にひと段落つき少し前の険悪な雰囲気も消え去ったようだった。灯されていた行灯が消えて、ふたりが部屋から出ていくのが窺える。朝になる前には帰るという算段だろう。
そうして、その一方。一部始終を聞いてしまった私たちはというと。
「…………銀さん」
「…………どうしたぱっつぁん」
「……僕たち、人質らしいですけど」
「…空耳じゃね」
「違います」
――当たってしまった天パの勘と思いもしなかった真実に、暫し呆然としてしまっていたのだった。
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中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!お陰様で一巻完結とさせていただきましたー!次は多少進展する、はず、です!よろしければ続編もお付き合いください(´∀`*) (2016年11月27日 1時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル(プロフ) - 1巻完結おめでとうございます!! 続編お待ちしていますッ><// (2016年11月27日 1時) (レス) id: ee46f2da27 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 中村さんの作品、どれも楽しく読ませて頂いています!!この作品ももう神作品・・・!!!これからも応援しています!続編待ってます! (2016年11月27日 0時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(仮)(プロフ) - わあああああ!中村さんの作品はどれも面白いですね…!!私も中村さんのようになれるよう頑張ります( ˘ω˘ )小説もテストも、応援してます!\( 'ω')/ (2016年11月21日 15時) (レス) id: ad846d9b2e (このIDを非表示/違反報告)
朋花 - はじめまして!こちらの小説読ませていただいています。とても面白くて、更新されるのを心待ちにしてます。期末テスト、頑張ってください!応援してます! (2016年11月20日 16時) (レス) id: 9203abc5a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月13日 0時