萌えないギャップ ページ46
(……そうなったら、どうするか。)
どうしよう、主語も述語もわからない。これでは聞いたも聞こえないも変わらないじゃないか。
もう一回、もうちょっと詳細な情報下さい。お願いだから。届くはずもない祈りを念じていれば幸い男につられて他の人の声も大きくなったようだった。
「――心配せずとも犬どもの動きには気づいております。そのためにあんなのをここへ招き入れているんですから」
「だが折田さんよォ、んなもんでどうにかなると思うか?」
「その場しのぎができれば文句はない。あとは好きなように逃げてまた好きなところで一から始めればいいだけでしょう」
「ったく、これだから金持ちは」
………丁寧な言葉遣いには聞き覚えがある。折田さんのものだろう。声から判断するに折田さんともうひとり、知らぬ男が話をしているらしい。
交わされるやりとりはやはり詳細を察しづらくてよくわからなかったけど、しかし険悪な雰囲気だけは感じ取った。あとは――“犬”?“あんなの”?
犬の動きに気づくって一体どういうことだ。武器商からペットショップにまで手を広げるつもりだろうか。わけがわからない。
あんなの、という方は……“招き入れた”と言っているあたり屋敷内の人間か。……まさか私たち?という危惧が頭を掠めなかったわけではないけれど、とりあえず今は置いておいて。
(…とにもかくにも盗み聞きだ。)
そちらが先決である。襖越しに伝わってくるギスギスした雰囲気に再び身を投じると。
「金持ちもなにも関係ありませんよ。私は最善策を考えているだけだ」
「ならまず犬どもを撒くことを考えろ!」
「お江戸にいる限りそれは無理でしょう。なんといっても彼らはしつこいんです。ならばいっそのこと、人質片手にどこかへ逃げてしまったほうがいい」
襖の向こうで「反論はありますか」という落ち着いた声が付け足されたようだった。言うまでもなく折田さんのもので――三日前の彼の印象とは大幅に違う声色に、また眉間の皺が深くなる。
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中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!お陰様で一巻完結とさせていただきましたー!次は多少進展する、はず、です!よろしければ続編もお付き合いください(´∀`*) (2016年11月27日 1時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル(プロフ) - 1巻完結おめでとうございます!! 続編お待ちしていますッ><// (2016年11月27日 1時) (レス) id: ee46f2da27 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 中村さんの作品、どれも楽しく読ませて頂いています!!この作品ももう神作品・・・!!!これからも応援しています!続編待ってます! (2016年11月27日 0時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(仮)(プロフ) - わあああああ!中村さんの作品はどれも面白いですね…!!私も中村さんのようになれるよう頑張ります( ˘ω˘ )小説もテストも、応援してます!\( 'ω')/ (2016年11月21日 15時) (レス) id: ad846d9b2e (このIDを非表示/違反報告)
朋花 - はじめまして!こちらの小説読ませていただいています。とても面白くて、更新されるのを心待ちにしてます。期末テスト、頑張ってください!応援してます! (2016年11月20日 16時) (レス) id: 9203abc5a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月13日 0時