人見知りの習性 ページ45
「――銀さん銀さん、コレ本当に大丈夫なんですか」
「あ?何がだよ」
「……依頼主のこと詮索してるあたり?」
「んなもんしらねーよ。こっちももしかしたら面倒事に巻き込まれてるかもしれねーんだし不可抗力だろ」
「酷い理屈アル」
―――そんなことを言いながら、忍び足を進めること数分。この広い屋敷に広がる暗闇の中、漸くぼんやりとした灯りが見えてきていた。
「――多分、アレ」
……折田さんのお母さんとやらは確かもっと奥の部屋だし、護衛もこのあたりにはいないはず。つまり目の前の灯りの主はこの家の人ではない。
これでも日中できる限り人目を避けるため、家人の居場所は私が誰より把握しているのだ。人見知りの習性のようなものである。
私の人差し指の先を辿った三人は、忍び足を更に忍ばせてそこへ近づいていき。
なんだか忍者ごっこでもしているようだ、したことないけども。そんなくだらない事を考えながら、私もひたりと灯りの漏れる襖にくっついた。
「……何か聞こえるか?」
「…何か、話してますかね?」
「静かにするヨロシ」
「聞こえなくもない」
小声を更に潜めたようなやり取りを終え、各自耳を澄ませることへ専念する。現在時刻は既に23時を回っていて、襖の向こう以外から聞こえる音もない。
全神経を研ぎ澄ませて、襖の向こう側へ思いを馳せれば。
「――が――で―――」
「―、――は――」
(……もうちょい、)
もうちょっと声を大きくしてくれれば!聞こえるのに!
声の輪郭だけ掴んで実態のみがわからないというこの状況にとても焦れる。眉間にシワが寄るのを感じつつ更に意識を集中させていると。
「――だから、もしそうなったらどうするのかって聞いてんだ!」
――思わず肩が跳ねて、他三人と顔を見合わせた。願ったり叶ったりというか、…部屋の中の男のひとりが、グッドタイミングで声を荒らげてくれたらしかった。
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中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!お陰様で一巻完結とさせていただきましたー!次は多少進展する、はず、です!よろしければ続編もお付き合いください(´∀`*) (2016年11月27日 1時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル(プロフ) - 1巻完結おめでとうございます!! 続編お待ちしていますッ><// (2016年11月27日 1時) (レス) id: ee46f2da27 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 中村さんの作品、どれも楽しく読ませて頂いています!!この作品ももう神作品・・・!!!これからも応援しています!続編待ってます! (2016年11月27日 0時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(仮)(プロフ) - わあああああ!中村さんの作品はどれも面白いですね…!!私も中村さんのようになれるよう頑張ります( ˘ω˘ )小説もテストも、応援してます!\( 'ω')/ (2016年11月21日 15時) (レス) id: ad846d9b2e (このIDを非表示/違反報告)
朋花 - はじめまして!こちらの小説読ませていただいています。とても面白くて、更新されるのを心待ちにしてます。期末テスト、頑張ってください!応援してます! (2016年11月20日 16時) (レス) id: 9203abc5a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月13日 0時